【数Cベクトル】交点の位置ベクトル〜sとtを置かずに求める!

当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

「位置ベクトル」を学習すると出てくる,「交点の位置ベクトル」の問題。

図だとこれです。

このときの\rm \overrightarrow{OP}を求めよ。っていう問題。

教科書ではsとtをおいて連立方程式を作って解く方法を習いますが,

実は連立方程式を使わずに,交点の位置ベクトルを求める方法があります

この記事では,交点の位置ベクトルの求め方を3種類紹介します。

お友達が連立方程式をめんどくさそうに解いているのを横目に,自分はスマートな方法でさっさと解いてしまい,優越感を味わいましょう!

この記事を書いた人
粗茶
  • 高校数学・高校公民・中学社会担当の現役塾講師
  • 講師歴13年
  • 13年の指導経験で知った「生徒がつまづきやすいポイント」や「教科書よりも効率の良い解法」をわかりやすく発信しています。
目次

交点の位置ベクトルの問題の解き方3選

今回扱う問題はこちら。

例題

三角形\rm ABCについて,辺\rm OA2:1に内分する点を\rm C,辺\rm OB3:2に内分する点を\rm Dとする。2つの線分\rm AD\rm BCの交点を\rm Pとするとき,\overrightarrow{\rm OP}\overrightarrow{\rm OA}\overrightarrow{\rm OB}で表せ。

図示するとこんな感じ。

わかっている比を利用して,\overrightarrow{\rm OP}\overrightarrow{\rm OA}\overrightarrow{\rm OB}で表してね。という問題です。

この問題の解き方を3種類紹介します。

交点の位置ベクトルを求める3つの方法
  • 教科書的方法(連立方程式を解く)
  • 1つの文字で解く方法
  • 文字を使わない方法(メネラウスの定理を使う)

それでは順に紹介していきます。

教科書的な方法(連立方程式)

交点の位置ベクトルの問題,教科書では連立方程式を解く方法が載っています。

\overrightarrow{\rm OP}を,文字を使って2種類の式で表します。

\rm Pは,\rm AD上にあるので,

{\rm AP:PD}=(1-s):sとおけます。

また,\rm Pは,\rm CB上にもあるので,

{\rm CP:PB}=(1-t):tとおけます。

粗茶さん

{\rm AP:PD}=(1-s):sじゃなくて,{\rm AP:PD}=s:(1-s)でもOK。tも同様。

{\rm AP:PD}=(1-s):sより,

\overrightarrow{\rm OP}=s\overrightarrow{\rm OA}+(1-s)\overrightarrow{\rm OD} 

\therefore \overrightarrow{\rm OP}=s\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{3}{5}(1-s)\overrightarrow{\rm OB} …①

粗茶さん

\rm OD:DB=3:2だから,\overrightarrow{\rm OD}=\cfrac{3}{5}\overrightarrow{\rm OB}

また,

{\rm CP:PB}=(1-t):tより,

\overrightarrow{\rm OP}=t\overrightarrow{\rm OC}+(1-t)\overrightarrow{\rm OB} 

\therefore \overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{2}{3}t\overrightarrow{\rm OA}+(1-t)\overrightarrow{\rm OB} …②

粗茶さん

\rm OC:CA=2:1だから,\overrightarrow{\rm OC}=\cfrac{2}{3}\overrightarrow{\rm OA}

①と②は同じベクトル\overrightarrow{\rm OP}を表しています。

同じということは,\overrightarrow{\rm OA}の係数どうしが等しいし,\overrightarrow{\rm OB}の係数どうしも等しくなる。

\overrightarrow{\rm OA}\overrightarrow{\rm OB}は一次独立なので,各係数を比較して,

 s=\cfrac{2}{3}t…③

 1-t=\cfrac{3}{5}(1-s)…④

粗茶さん

\overrightarrow{\rm OA}\overrightarrow{\rm OB}が平行でもなければ\overrightarrow{0}でもないことを「\overrightarrow{\rm OA}\overrightarrow{\rm OB}は一次独立である」といいます。
係数の比較ができるのは,一次独立のときだけ。

③,④を連立させて解きましょう。

③を④に代入して,

  1-t=\cfrac{3}{5}\left(1-\cfrac{2}{3}t\right)

-\cfrac{3}{5}t=-\cfrac{2}{5}

t=\cfrac{2}{3}

③に代入して,

 s=\cfrac{2}{3}\cdot\cfrac{2}{3}=\cfrac{4}{9}

sを①に代入して,

 \overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{3}{5}\left(1-\cfrac{4}{9}\right)\overrightarrow{\rm OB}

\therefore \overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{1}{3}\overrightarrow{\rm OB} …(答)

これで何の問題もないのですが…

学生の方

連立方程式めんどくさい。分数の計算やりたくない。

連立方程式になるし,ほぼ間違いなく分母の異なる分数が出てきます。

次は,連立方程式を使わず,文字1つで終わらせる方法を紹介します。

1つの文字で解く方法

交点の位置ベクトルを,1つの文字だけで求める方法です。

連立方程式になる場合は,stの2つを使いましたが,今回はsだけをおきます。

tでもいいです)

\rm Pは,\rm AD上にあるので,

{\rm AP:PD}=(1-s):sとおけます。

{\rm AP:PD}=(1-s):sより,

\overrightarrow{\rm OP}=s\overrightarrow{\rm OA}+(1-s)\overrightarrow{\rm OD} …①

粗茶さん

ここまでは,tをおいていないだけで,連立方程式のときの同じ流れです。

ここで,\rm P\rm CB上にもあるので,\overrightarrow{\rm OP}\overrightarrow{\rm OC}\overrightarrow{\rm OB}で表すことを考えます。

\overrightarrow{\rm OC}=\cfrac{2}{3}\overrightarrow{\rm OA}より,\overrightarrow{\rm OA}=\cfrac{3}{2}\overrightarrow{\rm OC}

\overrightarrow{\rm OD}=\cfrac{3}{5}\overrightarrow{\rm OB} 

これらを①に代入して,

\overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{3}{2}s\overrightarrow{\rm OC}+\cfrac{3(1-s)}{5}\overrightarrow{\rm OB} 

さらにここで,直線上の点に関する超重要なことがあります。

直線上の点の位置ベクトル

直線{\rm AB}上に点\rm Pがあるとき,

\overrightarrow{\rm OP}=s\overrightarrow{\rm OA}+t\overrightarrow{\rm OB}

s+t=1

係数の和が1

今回は,点\rm P\rm CB上にあるので,

\overrightarrow{\rm OC}の係数\cfrac{3}{2}s\overrightarrow{\rm OB}の係数\cfrac{3(1-s)}{5}の和が1になります。つまり,

 \cfrac{3}{2}s+\cfrac{3(1-s)}{5}=1 

15s+6(1-s)=10 

s=\cfrac{4}{9}

①に代入して計算すると,

 \overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{5}{9}\overrightarrow{\rm OD}

\overrightarrow{\rm OD}=\cfrac{3}{5}\overrightarrow{\rm OB} だったので,

 \overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{5}{9}\cdot\cfrac{3}{5}\overrightarrow{\rm OB}

\overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{1}{3}\overrightarrow{\rm OB} …(答)

粗茶さん

係数の和が1」は,位置ベクトルでは非常に重要なので,使いこなせるようにしておきたい!

文字をおかない方法(メネラウスの定理の利用)

学生の方

結局AP:PDが分かればいいんじゃないの?

と思ったアナタは正解です。

AP:PD(またはCP:PB)がわかりさえすれば,\overrightarrow{\rm OP}を求めることができます。

ベクトルを使わない方法として,メネラウスの定理を使うこともできます。

メネラウスの定理

図のように,三角形\rm OADと直線\rm CBがあるとき,

\rm \cfrac{AP}{PD}\cdot\cfrac{DB}{BO}\cdot\cfrac{OC}{CA}=1

定理の説明は長くなるのでこの記事では省きますが,

メネラウスの定理を使うことで,AP:PDの比を求めることができてしまいます。

ここから解答。

メネラウスの定理より,

 \rm \cfrac{AP}{PD}\cdot\cfrac{DB}{BO}\cdot\cfrac{OC}{CA}=1

それぞれの比を代入して,

 \rm \cfrac{AP}{PD}\cdot\cfrac{2}{5}\cdot\cfrac{2}{1}=1

\rm \cfrac{AP}{PD}=\cdot\cfrac{5}{4} 

つまり,\rm AP:PD=5:4

\rm P\rm AD5:4に内分するので,

 \rm \overrightarrow{OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{OA}+\cfrac{5}{9}\overrightarrow{OD}

\overrightarrow{\rm OD}=\cfrac{3}{5}\overrightarrow{\rm OB} だったので,

 \overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{5}{9}\cdot\cfrac{3}{5}\overrightarrow{\rm OB}

\overrightarrow{\rm OP}=\cfrac{4}{9}\overrightarrow{\rm OA}+\cfrac{1}{3}\overrightarrow{\rm OB} …(答)

このようにして,比がわかりさえすればいいので,メネラウスの定理を使う方法も有効です。

というか,けっこうオススメです。

交点の位置ベクトル まとめ

交点の位置ベクトルの求め方を3通り紹介しました。

交点の位置ベクトルを求める3つの方法
  • 連立方程式でやる(教科書的)
  • 1つの文字でやる
  • メネラウスの定理で比を求める

AP:PD(または「CP:PB)を求める」という目的はすべて同じです。

基本的には好きな方法でやってもらっていいのですが,

共通テストなどの穴埋め形式の問題の場合は,連立方程式の方法を指定されることがあります。

複数の方法で導けるようにしておきましょう。

 

このブログでは,自分で勉強しているとき,つまづきやすいポイントを解説。

「かゆいところに手が届く」情報を発信しています。

自分で勉強する際にオススメの参考書や,勉強が楽しくなる文房具も紹介していますので,よろしければご覧ください!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次