漸化式って習いましたか?
あー,なんかよくわからなかったやつだ。
漸化式とは,数列の隣り合う項の関係を表した式です。
漸化式は,「初項」と「a_{n}とa_{n+1}の関係を表す式」の2つで構成されることが多いです。
早速ですが例を見てみましょう。
a_1=1,a_{n+1}=3a_n+4n+2^n \cdots ①
何やら大変そうですが,長い方の式のnに1から順番に代入していけば,各項の値がわかります。
a_1=1 なのは最初から書いてある。
①にn=1を代入して,
\begin{aligned} a_2&=3a_1+4\cdot 1+2^1\\\\ &=3\cdot 1+4+2\\\\ &=9 \end{aligned}
①にn=2を代入して,
\begin{aligned} a_3&=3a_2+4\cdot 2+2^2\\\\ &=3\cdot 9+8+4\\\\ &=39 \end{aligned}
①にn=3を代入して,
\begin{aligned} a_4&=3a_3+4\cdot 3+2^3\\\\ &=3\cdot 39+12+8\\\\ &=137 \end{aligned}
のようにして,次々に項を求めることができます。
そもそも「漸」という漢字には,「少しずつ進む」という意味があるので,1つずつ値が出てくるイメージにも合っていると思います。
これって,永遠に数字を代入しなきゃいけないってこと?
代入し続けてもいいんですが,それで終わってしまっては芸がありません。
漸化式の問題の最終目標は,漸化式の形をみて,その数列の一般項を求めるところにあります。
この記事では,漸化式の問題によく登場するパターンをあげ,一般項を求めるまでの流れを説明します。
数列の単元は,知識が物を言う部分がとても多いです。
さまざまなパターンを覚えるのは大変ですが,やり方を覚えればすぐに得点につながるので,しっかり身につけていきましょう!
- 解き方を覚えるべき漸化式パターンがわかる
- それぞれのパターンから一般項を求める方法がわかる
粗茶
- 文系に特化して数学を分かりやすく教える高校数学の専門家
- 指導歴14年
- 数学が苦手で何から始めたらいいか分からない文系高校生の悩みを解決するコンテンツを展開しています。
等差型・等比型・階差型の漸化式
すべての漸化式の基本となるのが、等差数列型・等比数列型・階差数列型の3種類。
複雑な漸化式でも、これら3つのいずれかの形になるように変形していきます。
- 等差数列型 a_{n+1}=a_n+d
- 等比数列型 a_{n+1}=ra_n
- 階差数列型 a_{n+1}=a_n+f(n)
等差数列型
まずは等差数列型の漸化式です。
a_{n+1}=a_n+d
で表される数列\{a_n\}は,初項a_1,公差dの等差数列なので,一般項は
a_n=a_1+(n-1)d
a_nにdをたすとa_{n+1}になるので,dが公差ということですね。
初項と公差から,一般項を求めましょう。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=3,a_{n+1}=a_n+2
初項3,公差2の等差数列なので,一般項は,
a_n=3+(n-1)\cdot2=\color{red}2n+1
等比数列型
次に等比数列型の漸化式です。
a_{n+1}=ra_n
で表される数列\{a_n\}は,初項a_1,公比rの等比数列なので,一般項は,
a_n=a_{1}r^{n-1}
a_nにrをかけるとa_{n+1}になるので,rが公比ということです。
初項と公比から,一般項を求めましょう。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=3,a_{n+1}=2a_n
初項3,公比2の等差数列なので,一般項は,
a_n=\color{red}3\cdot 2^{n-1}
階差数列型
次に階差数列型の漸化式です。
a_{n+1}=a_n+f(n)
で表される数列\{a_n\}の階差数列がf(n)なので,n\geqq 2において,
a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}f(k)
最初の漸化式の形だと少し分かりづらいですが,右辺のa_nを移項して,
a_{n+1}-a_n=f(n)
とすると,隣り合う項の差がf(n)になるので,f(n)が階差数列ということがわかります。
階差数列から一般項を求めるときは,シグマを使った公式がありましたので,これを使いましょう。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=1,a_{n+1}=a_n+3n+4
a_{n+1}-a_n=3n+4
と変形できるので,3n+4は数列\{a_n\}の階差数列である。
n\geqq 2のとき,
\begin{aligned} a_n=&a_1+\sum_{k=1}^{n-1}(3k+4)\\\\ =&1+3\cdot\cfrac{1}{2}(n-1)n+4(n-1)\\\\ =&\color{red}\cfrac{3}{2}n^2+\cfrac{5}{2}n-3\\\\ &\text{(これは}n=1\text{でも成り立つ)} \end{aligned}
すべての漸化式は,最終的に等差数列・等比数列・階差数列のいずれかの形に変形して解くことになります。
他のパターンを学習する前に,しっかり身につけておきましょう。
置き換えによって漸化式を解く
複雑な漸化式は,式の一部をカタマリとしてとらえ,新しい数列に置き換えることで,等差数列・等比数列・階差数列のいずれかの形に持ち込んでいきます。
置き換え①(よくある形)
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=6,a_{n+1}-2=3(a_n-2)
とても複雑そうな形に見えますが,よーく見ると,右辺にも左辺にも,
a_{\text{■}}-2
という形があることに気づきます。これを新しい文字で置き換えることによって,ステキなことが起こります。
a_n-2=b_n
と置きます。すると,
b_{n+1}=a_{n+1}-2
になるし,もちろん,
b_{1}=a_1-2=6-2=4
なので,漸化式は,
b_1=4,b_{n+1}=3b_n
と書けて,\{b_n\}は初項4,公比3の等比数列なので,\{b_n\}の一般項は,
b_n=4\cdot 3^{n-1} \cdots\text{①}
となります。ただ,求めたいのは\{a_n\}の一般項です。
b_n=a_n-2
だったので,これを①に代入して,
\begin{aligned} &a_n-2=4\cdot 3^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow & a_n=\color{red}4\cdot 3^{n-1}+2 \end{aligned}
複雑な漸化式を解くにあたっては,共通の形を作り出して,新しい数列に置き換えるという作業がとても重要になります。
次は少し分かりづらいですが,どうでしょうか。
置き換え②(すこし難しい形)
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=2,a_{n+1}+2(n+1)-5=3(a_n+2n-5)
さらに複雑になりましたが,やはり右辺にも左辺にも,
a_{\text{■}}+2{\text{■}}-5
という共通の形があります。これを新しい文字で置き換えます。
a_n+2n-5=b_n
と置きます。すると,
b_{n+1}=a_{n+1}+2(n+1)-5
になるし,もちろん,
b_{1}=a_1+2\cdot 1-5=2+2-5=-1
なので,漸化式は,
b_1=-1,b_{n+1}=3b_n
と書けて,\{b_n\}は初項-1,公比3の等比数列なので,\{b_n\}の一般項は,
b_n=-3^{n-1} \cdots\text{①}
となります。求めるのは\{a_n\}の一般項なので,
b_n=a_n+2n-5
を①に代入して,
\begin{aligned} &a_n+2n-5=-3^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow &a_n=\color{red}-3^{n-1}-2n+5 \end{aligned}
特性方程式を使う漸化式
次に紹介するのは,a_{n+1}=pa_n+q型の漸化式です。
あまりによく出てくるので,頻出パターンの一つに含めてもいいくらいの勢いです。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=6,a_{n+1}=3a_n-4
3がなければ等差数列,-4がなければ等比数列なのですが,両方ついちゃっているので,等差でも等比でもありません。
この漸化式をうまく変形して,頻出3パターン(等差・等比・階差)のどれかにすることができれば,我々の勝利は目前です。
ここからはやり方を覚えるしかないのですが,
この漸化式,a_{n+1}-\alpha=3(a_n-\alpha)に変形できないかなあ…
と思ってください。
いや,ちょっと無理ありすぎでしょ!
そこはもう,そういうものとしてお付き合いください…
漸化式が
a_{n+1}-\alpha=3(a_n-\alpha) \cdots①
に変形できるとする。この式は,
\begin{aligned} &a_{n+1}-\alpha=3(a_n-\alpha)\\\\ \Leftrightarrow&a_{n+1}=3a_n\color{blue}-2\alpha \end{aligned}
と変形できる。これが元の漸化式
a_{n+1}=3a_n\color{blue}-4
と等しくなるとき,定数項(青いところ)を比較して,
\begin{aligned} &{\color{blue}-2\alpha=-4}\\\\ \therefore& \alpha=2 \end{aligned}
これを①に代入すると,
a_{n+1}-2=3(a_n-2)
となる。ここで,
a_n-2=b_n
と置きます。すると,
b_{n+1}=a_{n+1}-2
になるし,もちろん,
b_{1}=a_1-2=6-2=4
なので,漸化式は,
b_1=4,b_{n+1}=3b_n
と書けて,\{b_n\}は初項4,公比3の等比数列なので,\{b_n\}の一般項は,
b_n=4\cdot 3^{n-1} \cdots\text{②}
となる。ここで,
b_n=a_n-2
だったので,②に代入して,
\begin{aligned} &a_n-2=4\cdot 3^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow & a_n=\color{red}4\cdot 3^{n-1}+2 \end{aligned}
お気づきの方もいるかもしれませんが,実はこれ,例題4と全く同じ問題だったんです。
例題4では置き換えやすい形になっていましたが,実際出題される問題では自力で変形する必要があります。
ちなみに\alphaの値は,次の特性方程式を使うと,早く求められます。
a_{n+1}=pa_n+q\Leftrightarrow a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)
が成り立つときの\alphaは,\alphaの方程式
\alpha=p\alpha+q
を解けば求められる。
(この\alphaの方程式を「特性方程式」という)
もとの漸化式のa_{n+1}とa_nを,ともに\alphaに書き直した式を解くと,\alphaが求められます。
例題6だと,
\begin{aligned} &\alpha=3\alpha-4\\ \therefore &\alpha=2 \end{aligned}
ということで,素早く求められますね。
理由
\begin{aligned} & a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)\\\\ \Leftrightarrow &a_{n+1}=pa_n+\alpha-p\alpha \end{aligned}
この定数項と,もとの漸化式
a_{n+1}=pa_n+q
の定数項を比較すると,
\begin{aligned} &\alpha-p\alpha=q\\\\ \Leftrightarrow &\alpha=p\alpha+q \end{aligned}
となって,特性方程式ができます。
複雑な漸化式の中には,この「特性方程式パターン」に変形するというのものも数多いので,しっかりできるようにしてきましょう。
後ろにnの式がついている漸化式
例題6の特性方程式パターンによく似ているのですが,後ろにnの式がついていると,特性方程式が使えません。
nの1次式がついている漸化式
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=2,a_{n+1}=3a_n+4n-12
やはりやり方を覚えるしかないのですが,
この漸化式,
a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=3(a_n+\alpha n+\beta)
に変形できないかなあ…
と思ってください。
…わかりました。覚えさせていただきます。
…ちょっと怒ってる?
a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=3(a_n+\alpha n+\beta)
と変形することができれば,
b_n=a_n+\alpha n+\beta\text{, }b_{n+1}=a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta
ってできるので,
b_{n+1}=3b_n
となって,等比数列にすることができます。
例題6では,特性方程式を使って\alphaを求めることができましたが,今回は特性方程式が使えないので,展開して係数を比較するしかありません。
漸化式が
a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta=3(a_n+\alpha n+\beta) \cdots(*)
と変形できるとすると,この式は,
a_{n+1}=3a_n+{\color{blue}2\alpha}n{\color{green}-\alpha+2\beta}
であり,もとの漸化式
a_{n+1}=3a_n+{\color{blue}4}n{\color{green}-12}
と係数を比較すると,
\begin{aligned} {\color{blue}2\alpha}=&{\color{blue}4}&\cdots①\\ {\color{green}–\alpha+2\beta}=&{\color{green}-12}&\cdots② \end{aligned}
①,②を連立させて解いて,
\alpha=2,\beta=-5
これを(*)に代入して,
a_{n+1}+2(n+1)-5=3(a_n+2n-5)
実はこの問題,例題5とまったく同じなので,置き換えを使って,
a_n+2n-5=b_n
とおくと,
b_{n+1}=a_{n+1}+2(n+1)-5
になる。また,
b_{1}=a_1+2\cdot 1-5=2+2-5=-1
なので,漸化式は,
b_1=-1,b_{n+1}=3b_n
と書けて,\{b_n\}は初項-1,公比3の等比数列なので,\{b_n\}の一般項は,
b_n=-3^{n-1} \cdots\text{③}
となります。ここで,
b_n=a_n+2n-5
を③に代入して,
\begin{aligned} &a_n+2n-5=-3^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow & a_n=\color{red}-3^{n-1}-2n+5 \end{aligned}
nの2次式がついている漸化式
同じ要領ですが,2次式がついていると,目標とする式も長くなります。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=3,a_{n+1}=2a_n+n^2-n+1
2次式になっているので,目標の式にもn^2の項を作ります。
漸化式が
a_{n+1}+\alpha(n+1)^2+\beta(n+1)+\gamma=2(a_n+\alpha n^2+\beta n+\gamma) …(*)
と変形できるとすると,この式は,
a_{n+1}=2a_n+{\color{purple}\alpha}n^2+({\color{blue}\beta-2\alpha})n\color{green}-\alpha-\beta+\gamma
で,これと元の漸化式
a_{n+1}=2a_n{\color{purple}+1}n^2{\color{blue}-1}n\color{green}+1
と比較して,
\begin{aligned} {\color{purple}\alpha}=&{\color{purple}1}&\cdots①\\ {\color{blue}\beta-2\alpha}=&{\color{blue}-1}&\cdots②\\ {\color{green}-\alpha-\beta+\gamma}=&{\color{green}1}&\cdots③ \end{aligned}
①,②,③を連立させて解いて,
\alpha=1,\beta=1,\gamma=3
これらを(*)に代入して,
a_{n+1}+(n+1)^2+(n+1)+3=2(a_n+n^2+n+3)
ここで,
b_n=a_n+n^2+n+3
とおくと,漸化式は,
b_{n+1}=2b_n
であり,
b_1=a_1+1^2+1+3=3+1+1+3=8
よって,数列\{b_n\}は,初項8,公比2の等比数列なので,
\begin{aligned}b_n=&8\cdot 2^{n-1}\\\\ =&2^3\cdot 2^{n-1}\\\\ =&2^{n+2}\end{aligned}
すなわち,
\begin{aligned} a_n+n^2+n+3=2^{n+2}\\\\ \Leftrightarrow a_n=\color{red}2^{n+2}-n^2-n-3 \end{aligned}
2次以上の式がついていても,同様にして解くことができます。
3次以上でもやりかたは同じですが,長くなるので,もうやりません。
定数の累乗がついている漸化式は,n+1乗で割る
こちらもよく出てくるパターンで,定数の累乗が後ろについている漸化式です。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=4,a_{n+1}=6a_n+2\cdot 3^n
漸化式にr^nのようなものがついている場合は,必ず両辺を\color{red}r^{n+1}で割ります。
問題の式がn乗でも,n-1乗でも,n+1乗でも,n+2乗でも,何乗であっても,両辺をn+1乗で割ります。
両辺を3^{n+1}で割ると,
\begin{aligned}&\cfrac{a_{n+1}}{3^{n+1}}=\cfrac{6a_n}{3^{n+1}}+\cfrac{2\cdot 3^n}{3^{n+1}}\\\\ \Leftrightarrow &\cfrac{a_{n+1}}{3^{n+1}}=2\cdot\cfrac{a_n}{3^{n}}+\cfrac{2}{3} \cdots①\end{aligned}
a_{n+1}の分母がn+1乗,a_{n}の分母がn乗になるようにするのがポイント。
ここで,
b_n=\cfrac{a_n}{3^n}
とおくと,①は,
b_{n+1}=2b_n+\cfrac{2}{3}
となり,これは例題6の特性方程式パターンなので,
\alpha=2\alpha+\cfrac{2}{3} \Leftrightarrow \alpha=-\cfrac{2}{3}
を用いて,
b_{n+1}-\left(-\cfrac{2}{3}\right)=2\left\{b_n-\left(-\cfrac{2}{3}\right)\right\} \Leftrightarrow b_{n+1}+\cfrac{2}{3}=2\left(b_n+\cfrac{2}{3}\right) \cdots②
と変形できる。
c_n=b_n+\cfrac{2}{3}
とおくと,②は,
c_{n+1}=2c_n
また,
c_1=b_1+\cfrac{2}{3}=\cfrac{a_1}{3^1}+\cfrac{2}{3}=\cfrac{4}{3}+\cfrac{2}{3}=2
なので,数列\{c_n\}は,初項2,公比2の等比数列で,
\begin{aligned}c_n&=2\cdot 2^{n-1}\\\\ &=2^n\end{aligned}
すなわち,
\begin{aligned}&b_n+\cfrac{2}{3}=2^n\\\\ \Leftrightarrow &b_n=2^n-\cfrac{2}{3}\\\\ \Leftrightarrow &\cfrac{a_n}{3^n}=2^n-\cfrac{2}{3}\end{aligned}
両辺を3^n倍して,
\begin{aligned}a_n&=2^n\cdot 3^n-\cfrac{2}{3}\cdot 3^n\\\\ &=\color{red}6^n-2\cdot 3^{n-1}\end{aligned}
とにかくn+1乗で割る!ということを覚えておきましょう。
分数型の漸化式は,逆数をとる
分母と分子の両方にa_nがある形の漸化式も存在します。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=1,a_{n+1}=\cfrac{a_n}{4-6a_n}
早い話が,両辺の逆数をとることで解決します。
両辺の逆数をとって,
\begin{aligned} &\cfrac{1}{a_{n+1}}=\cfrac{4-6a_n}{a_n}\\\\ \Leftrightarrow &\cfrac{1}{a_{n+1}}=4\cdot\cfrac{1}{a_n}-6 \end{aligned}
ここで,
b_n=\cfrac{1}{a_n}
とおくと,
b_{n+1}=4b_n-6
となり,これは例題6の特性方程式パターンなので,
\alpha=4\alpha-6\Leftrightarrow\alpha=2
を用いて,
b_{n+1}-2=4(b_n-2)
と変形できる。さらに,
c_n=b_n-2
とおくと,
c_{n+1}=4c_n
また,
c_1=b_1-2=\cfrac{1}{a_1}-2=\cfrac{1}{1}-2=-1
なので,数列\{c_n\}は,初項1,公比4の等比数列であり,
\begin{aligned}c_n&=-1\cdot 4^{n-1}\\ &=-4^{n-1}\end{aligned}
すなわち,
\begin{aligned} &b_n-2=-4^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow &b_n=2-4^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow &\cfrac{1}{a_n}=2-4^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow &a_n=\color{red}\cfrac{1}{2-4^{n-1}}\\\\ \end{aligned}
分数型の漸化式は,逆数をとることで普通の形に持っていくことができる場合が多いです。
指数型の漸化式は,対数をとる
時々見かけるのが,{a_n}^pが出てくる漸化式です。
迷わず\color{red}\log_{10}をとりましょう。
次の漸化式で表される数列\{a_n\}の一般項を求めよ。
a_1=3,{a_{n+1}}^5={a_n}^2
両辺で\log_{10}をとると,
\begin{aligned} &\log_{10}{a_{n+1}}^5=\log_{10}{a_n}^2\\\\ \Leftrightarrow &5\log_{10}a_{n+1}=2\log_{10}a_n\\\\ \Leftrightarrow &\log_{10}a_{n+1}=\cfrac{2}{5}\log_{10}a_n \end{aligned}
ここで
b_n=\log_{10}a_n
とおくと,漸化式は,
b_{n+1}=\cfrac{2}{5}b_n
また,
b_1=\log_{10}a_1=\log_{10}3
なので,数列\{b_n\}は,初項\log_{10}3,公比\cfrac{2}{5}の等比数列なので,
\begin{aligned} &b_n=\left(\log_{10}3\right)\cdot\left(\cfrac{2}{5}\right)^{n-1}\\\\ \Leftrightarrow &\log_{10}a_n=\left(\cfrac{2}{5}\right)^{n-1}\log_{10}3\\\\ \Leftrightarrow &\log_{10}a_n=\log_{10}3^{\left(\frac{2}{5}\right)^{n-1}}\\\\ \Leftrightarrow &a_n=\color{red}3^{\left(\frac{2}{5}\right)^{n-1}}\\\\ \end{aligned}
だいぶ細かい答えになっちゃいますが,指数型の場合は,対数をとることを覚えておくと,式が動きます。
まとめ
ということで,漸化式の頻出パターンの解き方を紹介しました。
まとめておくと,次のようになります。
- a_{n+1}=a_{n}+dは,等差数列
- a_{n+1}=ra_nは,等比数列
- a_{n+1}=a_n+(nの式)は,階差数列
- a_{n+1}=pa_n+qは,特性方程式
- a_{n+1}=pa_n+(nの式)は,置き換えを考える
- 定数のn乗があるときは,n+1乗で割る
- 分数型は,逆数をとる
- 指数型は,対数をとる
入試問題ではもっと複雑な漸化式がたくさん出てきます。
複雑な問題であっても,基本的なパターンの組み合わせになっていることがほとんどです。
今回紹介した漸化式の解き方をしっかり身につけて,いろいろな漸化式を解く力をつけていきましょう!
漸化式と並び,数列の苦手分野二大巨頭ともいえる「群数列」についても解説していますので,ぜひ読んでみてくださいね。
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