相加・相乗平均っていつ使う?使えるタイミングと使い方を解説!

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数学の問題の解答で突然,

相加・相乗平均の大小により…

って出てきて,

学生の方

なんで急に相加相乗平均なの?

って疑問に思ったことはありませんか?

実は,相加・相乗平均の大小関係を使うタイミングは決まっていて

2つの正の数の和の最小値を求めるとき

に使うことがほとんどです。

この記事では,相加・相乗平均の大小関係の使い時と使い方を,実際の例題を交えて解説していきます。

この記事を読むと,相加・相乗平均の使い方はもちろん,使える状況を見抜く目を養うことができます。

苦手な人が多い相加・相乗平均。使い時を見極めて,周りを一歩リードしちゃいましょう!

この記事を読むとわかること
  • 相加・相乗平均の関係の使い時と使い方がわかる
この記事を書いた人
粗茶
  • 高校数学・高校公民・中学社会担当の現役塾講師
  • 講師歴13年
  • 13年の指導経験で知った「生徒がつまづきやすいポイント」や「教科書よりも効率の良い解法」をわかりやすく発信しています。
目次

相加・相乗平均とは

まずは相加・相乗平均とは何か説明します。

相加平均とは

相加平均は,いくつかの数を足し合わせて,その個数で割ったものです。

いわゆる一般的な平均のことです。

今回は,2つの数を扱うので,相加平均は次の式になります。

相加平均

2つの数◯,△の相加平均は,

\cfrac{◯+△}{2}

2つを足して2で割るということです。

学生の方

平均って,これしかないんじゃないの?

粗茶さん

日常生活ではあまり見かけませんが,別の平均もあるんですなあ。

相乗平均とは

相乗平均とは,正の数をかけあわせて,n乗根をしたものです。

学生の方

n乗根ってなに?

粗茶さん

数Ⅱを習っていない人は知らないかもしれないですね。2個の数の場合は普通のルートのことなので,とりあえず次の形で覚えておいてください。

相乗平均

2つの正の数◯,△の相乗平均は,

\sqrt{◯\times△}

2つをかけてルートをつけると,相乗平均です。

相乗平均は,変化率(人口増加率など)の平均を求めるときなどに使われています。

詳細は本記事の本筋と離れていくので,またの機会にお話します。

相加・相乗平均の関係とは

相加平均と相乗平均を比べると,

\cfrac{◯+△}{2}\geqq \sqrt{◯\times△}

という大小関係があります。

相加平均は,相乗平均より大きいか,等しいんですね。

実際の問題で使う場合は,両辺を2倍した形が便利なので,次のように覚えましょう。

相加平均・相乗平均の大小関係

◯>0,△>0のとき,

◯+△\geqq 2\sqrt{◯\times△}

等号は,◯=△で成立。

なお,◯と△は正の数でないと成り立たないことにも注意しましょう。

相加・相乗平均の大小関係の証明

◯をa,△をbとすると,

a+b=2\sqrt{ab}(等号はa=bで成立)

になるので,これを証明します。

\begin{array}{ll}
&(左辺)^2-(右辺)^2\\\\
=&(a+b)^2-(2\sqrt{ab})^2\\\\
=&a^2+2ab+b^2-4ab\\\\
=&a^2-2ab+b^2\\\\
=&(a-b)^2\geqq 0\\\\
\therefore&(a+b)^2\geqq (2\sqrt{ab})^2\\\\
\end{array}
\begin{array}{c}
a+b>0,2\sqrt{ab} なので,\\\\
a+b\geqq 2\sqrt{ab}
\end{array}

 

\begin{array}{ll}
&等号は,\\\\
&(a-b)^2=0\\\\
\Leftrightarrow&a-b=0\\\\
\therefore&a=b\\\\
&で成立する。
\end{array}

相加・相乗平均は,「2つの正の数の和の最小値」を求めるときに使う

学生の方

相加・相乗平均って,結局いつ使うの?

相加・相乗平均の大小関係を使うタイミングは,これです。

相加・相乗平均の大小関係をつかうタイミング

相加・相乗平均の大小関係は,

2つの正の数の和最小値を求めるときに使う!

2つの正の数は,かけると文字が消えるもの

具体的な問題をやってみましょう。

例題1

a>0のとき,

a+\cfrac{4}{a}

の最小値と,そのときのaの値を求めよ。

a>0より,\cfrac{4}{a}>0でもあるので,2つの正の数の和になっています。

さらに最小値を求める問題ということで,相加・相乗平均が使える条件を満たしています。

◯+△\geqq 2\sqrt{◯\times△}

の,◯にa,△に\cfrac{4}{a}を当てはめましょう。

相加・相乗平均の大小関係により,

\begin{array}{l}
a+\cfrac{4}{a}\geqq 2\sqrt{a\cdot \cfrac{4}{a}}
\end{array}
粗茶さん

右辺はaが約分できて,2\sqrt{4}=4

\begin{array}{l}
\therefore a+\cfrac{4}{a}\geqq 4
\end{array}

a+\cfrac{4}{a}は4以上である。ということは示せました。

学生の方

4以上ってことは,最小値は4でOK?

4以上だからといって,最小値が4になるとは限らないのです。

例えば,3人の子どもがいて,5歳,6歳,7歳だったとします。

「3人とも4歳以上ですか?」

と聞かれたら,間違いなく4歳以上です。

でも,「最年少は4歳ですか?」

と聞かれたら,最年少は5歳なので,間違いになります。

つまり,全員が4歳以上であることと,最小値が4歳であることは,同じではないのです。

話を戻しましょう。

a+\cfrac{4}{a}\geqq 4だとわかったあとに,a+\cfrac{4}{a}の最小値が4であることを示すためには,

a+\cfrac{4}{a}=4になるaがあるかどうかを求める必要があります。

いわゆる等号成立条件ですね。

学生の方

あー,めっちゃ聞いたことあるけどいつも適当にしてるやつやー

相加・相乗平均の大小関係の式については,等号成立条件は「◯=△」だとわかっているので,あてはめて簡単にすればOK。

等号は,

\begin{array}{l}
a=\cfrac{4}{a} \Leftrightarrow a^2=4\\\\
a>0より,\\\\
a=2 で成立。
\end{array}
粗茶さん

つまり,最小値4をとるaは2ということ。

よって,a=2のとき,最小値4…(答)

相加・相乗平均が使える問題であることを見抜くことができれば,あとは公式に当てはめればできてしまいます。

積の形は展開してから

少し見かけがかわりますが,こちらも相加・相乗平均を使う問題です。

例題2

a>0,b>0のとき,

\left(a+\cfrac{4}{b}\right)\left(b+\cfrac{2}{a}\right)

の最小値を求めよ。

展開してみましょう。

\begin{array}{l}
\left(a+\cfrac{4}{b}\right)\left(b+\cfrac{2}{a}\right)={\color{red}ab+\cfrac{8}{ab}}+6\\\\
\end{array}

ここで,右辺の{\color{red}ab+\cfrac{8}{ab}}に注目。

a>0,b>0より,ab>0\cfrac{8}{ab}>0なので,2つの正の数の和になっている。

やはり,最小値になっているので,相加・相乗平均は使える条件を満たしています。

再び,

◯+△\geqq 2\sqrt{◯\times△}

の,◯にab,△に\cfrac{8}{ab}をあてはめます。

相加・相乗平均の大小関係により,

\begin{array}{l}
ab+\cfrac{8}{ab}\geqq 2\sqrt{ab\cdot \cfrac{8}{ab}}
\end{array}
粗茶さん

右辺はaが約分できて,2\sqrt{8}=4\sqrt{2}

\begin{array}{l}
\therefore ab+\cfrac{8}{ab}\geqq 4\sqrt{2}
\end{array}

元の問題は,+6がついているので,両辺に6をたして,

ab+\cfrac{8}{ab}+6\geqq 4\sqrt{2}+6

ということで最小値は4\sqrt{2}+6になりそうです。

あとは等号成立条件。「◯=△」を解きます。

等号は,

\begin{array}{l}
ab=\cfrac{8}{ab} \Leftrightarrow (ab)^2=8\\\\
ab>0より,\\\\
ab=2\sqrt{2} で成立。
\end{array}

よって,ab=2\sqrt{2}で,最小値4\sqrt{2}+6 …(答)

2つの正の数の和(かけると文字が消える)の最小値を求める問題で,相加・相乗平均を使うことができます

他の分野の問題の中にさりげなく登場することが多いので,気付けるかどうかは簡単ではないですが,そこは経験がモノを言うことになるでしょう。

おまけ:3つ以上の数の相加相乗平均でも同様に成り立つ

多くの場合,2つの数の相加・相乗平均を使いますが,

3つ以上の数の相加・相乗平均も同様の大小関係があります。

3つ以上の数の相加・相乗平均の大小

x_1>0,x_2>0,\cdots,x_n>0のとき,

\cfrac{x_1+x_2+\cdots +x_n}{n}\geqq \sqrt[n]{x_1\cdot x_2\cdots x_n}

等号は,x_1=x_2=\cdots =x_nで成り立つ

証明はレベルが高いのでここでは省略しますが,3つ以上の数についても(相加平均)\geqq(相乗平均)が成り立つことが知られています。

粗茶さん

私も問題で出会ったことはほとんどないので,参考程度に…

相加・相乗平均は使いどころの見極めが大切!

この記事では,相加・相乗平均の大小関係の使い時と使い方を説明しました。

相加・相乗平均は,2つの正の数の和の最小値を求めるときに使います。

また,相加・相乗平均を使って和の最小値を求める際には,

  • 正の数の和であること
  • 最後に等号成立条件を考える

という点に気をつけましょう。

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