2次不等式「解なし」も「すべての実数」も,すべて平方完成で解決!

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学生の方

2次不等式って,因数分解のときは簡単にできるんだけど,たまに出てくる「解なし」とか「解はすべての実数」になるのが,意味わからん。

2次不等式の問題で「解なし」とか「解はすべての実数」とか「a以外のすべての実数」とか,特殊なパターンになるものが出てくると,手も足も出ない…そんなお悩みはありませんか?

実は,どんな2次不等式でも「平方完成」を使えば解けてしまいます

特に,「解なし」とか「解はすべての実数」のような特殊なパターンのときに,平方完成が力を発揮します。

この記事では,2次関数を平方完成を用いて解く方法を,さまざまなパターンごとに説明します。

この記事を読めば,どんな形の2次方程式が出ても,もう怖くない!

学生の方

平方完成も苦手なんですが…

粗茶さん

平方完成の手順も説明するので,大丈夫ですよ!

この記事を読むとわかること
  • 平方完成の手順がわかる
  • 2次不等式を平方完成で解く方法がわかる
  • 「解なし」「解はすべての実数」のようになる2次方程式も,平方完成を使うとシンプルに解ける
この記事を書いた人
粗茶
  • 高校数学・高校公民・中学社会担当の現役塾講師
  • 講師歴13年
  • 13年の指導経験で知った「生徒がつまづきやすいポイント」や「教科書よりも効率の良い解法」をわかりやすく発信しています。
目次

平方完成とは

平方完成とは,一般的に,

ax^2+bx+c

の形の式を,

a(x-p)^2+q

の形に変形することをいいます。

粗茶さん

a\neq 0です。

平方完成は,2次関数のグラフを描くときに必要になる変形なので,手順をしっかり身につけましょう。

平方完成の手順

平方完成の手順を,具体例を使って説明します。

例1

2x^2-4x+5を平方完成する

STEP
2次の係数で最初の2項をくくる

x^2の係数があるときは,x^2の係数で最初の2項(x^2xの項)をくくります。

\begin{array}{ll}
&2x^2-4x+5\\\\
=&2\{x^2-2x\}+5
\end{array}
粗茶さん

見やすくするために中括弧を使っていますが,普通の括弧でもいいです。

STEP
カッコ内で次の変形をする

図のように変形します。

展開してもとに戻ることを確認するといいです。

STEP
外のカッコを外して完成

最後に外のカッコ(中括弧)を外して完成です。

\begin{array}{ll}
&2\{(x-1)^2-1^2\}+5\\\\
=&2(x-1)^2-2+5\\\\
=&2(x-1)^2+3
\end{array}
例2

x^2+3x+1を平方完成する

x^2の係数が1のときは,手順が少なくなります。

STEP
2次の係数で最初の2項をくくる

今回はx^2の係数が1なので,あえてくくらなくてもいいですが,わかりやすいようにくくっておきます。

\begin{array}{ll}
&x^2+3x+1\\\\
=&\{x^2+3x\}+1
\end{array}
STEP
カッコ内で次の変形をする
STEP
外のカッコを外して完成
\begin{array}{ll}
&\left\{\left(x+\cfrac{3}{2}\right)^2-\left(\cfrac{3}{2}\right)^2\right\}+1\\\\
=&\left(x+\cfrac{3}{2}\right)^2-\left(\cfrac{3}{2}\right)^2+1\\\\
=&\left(x+\cfrac{3}{2}\right)^2-\cfrac{5}{4}\\\\
\end{array}
粗茶さん

xの係数が奇数のときは分数が出てくるので,計算がやや複雑になります。

例3

-3x^2+2x+4を平方完成する

x^2の係数が負のときは,符号を間違えやすいですが,手順を守れば大丈夫!

STEP
2次の係数で最初の2項をくくる
\begin{array}{ll}
&-3x^2+2x+4\\\\
=&-3\left\{x^2-\cfrac{2}{3}x\right\}+4
\end{array}
STEP
カッコ内で次の変形をする
STEP
外のカッコを外して完成
\begin{array}{ll}
&-3\left\{\left(x-\cfrac{1}{3}\right)^2-\left(\cfrac{1}{3}\right)^2\right\}+4\\\\
=&-3\left(x-\cfrac{1}{3}\right)^2+3\cdot\left(\cfrac{1}{3}\right)^2+4\\\\
=&-3\left(x-\cfrac{1}{3}\right)^2+\cfrac{13}{3}
\end{array}
粗茶さん

今は説明用に細かく途中式を書いていますが,慣れたら省略してもOK。

2次不等式を平方完成を使って解く

それでは,2次不等式を平方完成で解いてみます。

準備として,以下の基本的な形をおさえておきましょう。

2次不等式の基本

a\geqq 0のとき,

\left\{
\begin{array}{l}
x^2>a \Leftrightarrow x <-\sqrt{a},\sqrt{a} < x\\\\
x^2< a \Leftrightarrow -\sqrt{a}< x < \sqrt{a}
\end{array}
\right.
粗茶さん

2次方程式のノリで
x<\pm a
みたいな書き方はしない(というより意味がわからない)ので,注意しましょう。

因数分解できるときは,因数分解でしょうね。

例題1

xの不等式

x^2-x-6<0

を解け。

左辺が因数分解できるので,一般的には因数分解を使います。

【一般的なやりかた】

\begin{array}{rcl}
x^2-x-6 &<&0\\\\
(x+2)(x-3)&<&0
\end{array}
\therefore -2< x<3 \cdots(答)

あえて平方完成を用いて解くと,次のようになります。

【平方完成を使うやりかた】

\begin{array}{rcl}
x^2-x-6 &<&0\\\\
\left(x-\cfrac{1}{2}\right)^2-\cfrac{1}{4}-6&<&0\\\\
\left(x-\cfrac{1}{2}\right)^2&<&\cfrac{25}{4}\\\\
\end{array}

よって,

\begin{array}{c}
-\cfrac{5}{2}< x-\cfrac{1}{2}<\cfrac{5}{2}\\\\\\
\therefore -2< x<3
\end{array}
学生の方

いやいやいや,こんな風に解く人いないでしょ。

粗茶さん

因数分解できるときは平方完成する必要はありません。
そちらのほうが圧倒的に楽ですからね。
平方完成でもできるということをわかってもらえればOK。

解の公式が必要なケースは,平方完成のほうが解答が書きやすいかも

例題2

xの不等式

x^2+5x+2\geqq 0

を解け。

これは左辺が因数分解できません。

解の公式で「=0」の解を求めるやり方が一般的でしょうか。

【一般的なやり方】

x^2+5x+2=0

を解の公式で解くと,

x=\cfrac{-5\pm\sqrt{5^2-4\cdot 1\cdot 2}}{2\cdot 1}=\cfrac{-5\pm\sqrt{17}}{2}

なので,不等式は,

x\leqq \cfrac{-5-\sqrt{17}}{2},\cfrac{-5+\sqrt{17}}{2} \leqq x

これは,平方完成でやったほうが書きやすいかも。

【平方完成を使うやり方】

\begin{array}{rcl}
x^2+5x+2\geqq 0\\\\
\left(x+\cfrac{5}{2}\right)^2-\cfrac{25}{4}+2\geqq 0\\\\
\left(x+\cfrac{5}{2}\right)^2\geqq\cfrac{13}{4}\\\\
x+\cfrac{5}{2}\leqq-\cfrac{\sqrt{13}}{2},\cfrac{\sqrt{13}}{2}\leqq x+\cfrac{5}{2}\\\\
\therefore x\leqq\cfrac{-5-\sqrt{13}}{2},\cfrac{-5+\sqrt{13}}{2}\leqq x
\end{array}
学生の方

途中で日本語が入らなくてもいけるところは認めますが,短くなってはいない…

今の例のように,答えが分数になるときは,あまり恩恵を感じられませんが,

二次関数の問題で,最初に平方完成で頂点を求める問題があって,そのあとに不等式を解かせるようなパターンの場合は,有効だと思います。

粗茶さん

状況に応じて使い分けることが大事!

「解なし」「すべての実数」などになるパターンも暗記せずに解く

「左辺=0」の解が異なる2つの実数にならない場合は,不等式の解が「解なし」とか「すべての実数」とか,特殊な形になります。

学生の方

「解なし」とか「すべての実数」とか,表になっているのを習ったんだけど,多すぎて覚えられないっす。

表というのは,これです。

不等式だけでも8パターンもあるので,覚えるのはほぼ不可能といえます。

このような状況でも,平方完成して解く方法ならば,暗記せずに解くことができます。

ここで次の事実を確認しておきたい!!

2乗は0以上

aが実数のとき,常に,

\Large{a^2\geqq 0}

実数の2乗は必ず0以上」ですね。

言い換えれば,「2乗して負になる実数は存在しない」ということになります。

「2乗は0以上」の性質を使って,特殊パターンの不等式を解いていきます。

例題3

xの不等式

x^2-10x+25<0

を解け。

左辺を平方完成して,

(x-5)^2<0\cdots①

(x-5)^2は0以上なので,

①を満たす実数xは存在しない。

以上より,実数解はない…(答)

例題4

xの不等式

9x^2-6x+1\leqq 0

を解け。

左辺を平方完成して,

(3x-1)^2\leqq 0\cdots②

(3x-1)^2は0以上なので,

②が成り立つのは(3x-1)^2=0のみ。よって,

\begin{array}{l}(3x-1)^2=0\\\\
3x-1=0\\\\
\therefore x=\cfrac{1}{3}\cdots(答)
\end{array}
例題5

xの不等式

x^2-6x+11>0

を解け。

左辺を平方完成して,

\begin{array}{l}
(x-3)^2-9+11>0\\\\
(x-3)^2>-2\cdots③
\end{array}

(x-3)^2は必ず0以上。

ということはもちろん,必ず-2よりも大きい。

よって,すべてのxで③が成り立つ。

よって,解はすべての実数…(答)

例題6

xの不等式

x^2-2x+1>0

を解け。

左辺を平方完成して,

(x-1)^2>0\cdots④

(x-1)^2は0以上なので,だいたいすべての実数を満たすが,

x=1のときだけ,左辺=0となって,④をみたさない。

よって,x1以外のすべての実数…(答)

実質,2次関数のグラフを考えているのと同じではあるのですが,

「2乗は0以上」という1点に絞って考えることで,暗記することを極力減らして,自力で答えを出せるようになります。

また,特殊パターンは突然出てくるので,普段から平方完成で考えるようにしておくと,迷わずに解答が書けると思います。

2次不等式に平方完成という選択肢を!

この記事では,2次不等式を平方完成を用いて解く方法を説明しました。

平方完成は,「解なし」「すべての実数」などになる場合の2次不等式では特に有効です。

すべての場合で平方完成が早いということはありませんが,解答方法の選択肢としてすぐに使えるようにしておきましょう。

 

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