群数列が全然わかりません!
数列の中でも苦手な人の多さで上位に位置するのが群数列。
なんだかごちゃごちゃしてて意味がわからない!って悩んでいませんか?
実は,群数列は「項数に注目する」「表にまとめる」ことでスッキリと解くことができてしまいます。
この記事では,群数列の問題の解き方をわかりやすく説明していきます。
群数列は解き方をマスターしてしまえば,大きな得点源になります。
群数列を得意分野にして,周りに差をつけちゃいましょう!
- 群数列の問題の解き方がスッキリ理解できる
粗茶
- 文系に特化して数学を分かりやすく教える高校数学の専門家
- 指導歴14年
- 数学が苦手で何から始めたらいいか分からない文系高校生の悩みを解決するコンテンツを展開しています。
「〜までの項数」=「〜が何番目か」
群数列の問題に入る前に,一つ確認しておきたいことがあります。それは,
「〜までにいくつの項があるか」と「〜は何番目か」は同じ意味だということ。
群数列は,項数に注目することが最重要ポイントなので,しっかり確認しておきましょう。
群数列は項数を追え!
まずは,項数に注目しやすい問題をやってみましょう。
1,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,5,5,5,5,\cdots
のように,自然数nがn個ずつ並んでいる数列がある。
(1)初めて30が現れるのは,第何項か。
(2)第200項を求めよ。
(3)初項から第200項までの和を求めよ。
1が1個,2が2個,3が3個…と続いているので,次のように群に分けます。
横長になってしまうので,表にまとめるとわかりやすくなります。
そして,一番右の列の項数に注目することが大切です。
(1)初めて現れる30は,第何項か。
(1)は,「初めて現れる30は,最初から数えると第何項ですか?」というご質問です。
第30群付近を表に書いて考えてみましょう。
「初めて現れる30」は,第30群の最初の項ですね。
一つ手前の第29群までには,
1+2+3+\cdots+29個の項が入っています。(上表の赤枠)
第30群の最初の項は,そのすぐ次なので,1足して,
1+2+3+\cdots+29+1番目の項,ということになります。
よって,初めて30が現れるのは,
\begin{aligned}& 1+2+3+\cdots+29+1\\\\&=\sum^{29}_{k=1}k+1\\\\&=\cfrac{1}{2}\cdot29\cdot30+1\\\\&=436\end{aligned}
より,第436項 …(答)
(2)第200項を求めよ。
まず,第200項が第何群に含まれるか?を考えます。
第200項が第n群に含まれるとすると,
第200項は,第n-1群の最後の項と,第n群の最後の項の間にあります。
表にすると,次のようになります。
第n-1群までの項数(上表の青枠)は,
1+2+\cdots+(n-1)=\displaystyle{\sum^{n-1}_{k=1}k}=\cfrac{1}{2}(n-1)n(個)
第n群までの項数(上表の赤枠)は,
1+2+\cdots+n=\displaystyle{\sum^{n}_{k=1}k}=\cfrac{1}{2}n(n+1)(個)
で,200がこれらの間にあるので,
\cfrac{1}{2}(n-1)n<200\leqq\cfrac{1}{2}n(n+1)
第200項が,ちょうど第n群の最後の項という可能性もあるので,右側の不等号にはイコールをつけておきます。
この不等式の各辺を2倍して,
(n-1)n<400\leqq n(n+1)
ここで,二次不等式を解けばいいわけなのですが,まともに計算しようとしても解けません。
そこで,nが自然数であることに注目して,てきとうな数字を代入して,成り立つかどうかを調べていきます。
今回は,20×20が400なので,20あたりに答えがありそうです。
n=18のとき,(n-1)n=17\cdot18=306,n(n+1)=18\cdot19=342 で,×\\n=19のとき,(n-1)n=18\cdot19=342,n(n+1)=19\cdot20=380 で,×\\n=20のとき,(n-1)n=19\cdot20=380,n(n+1)=20\cdot21=420 で,◯
ということで,不等式をみたすnは20ということがわかりました。
よって,第200項は第20群にあることが判明。
第20群に含まれる項はすべて20なので,第200項は20ということになります。…(答)
(3)初項から第200項までの和を求めよ。
(2)で,第200項は第20群にあることはわかりました。
第200項までの和を求めるには,第200項が第20群の何番目かを求める必要があります。
第19群までの項数(上表の赤枠)は,
\begin{aligned}& 1+2+3+\cdots+19\\\\&=\sum^{19}_{n=1}k\\\\&=\cfrac{1}{2}\cdot19\cdot20\\\\&=190(個)\end{aligned}
なので,第200項は,第20群の200-190=10番目なのだ。
ということで,第200項までの和は,
1が1個,2が2個,3が3個,…,19が19個と,20が10個なので,
\begin{aligned}& 1\times1+2\times2+3\times3+\cdots+19\times 19+20\times10\\\\&=1^2+2^2+3^3+\cdots 19^2+20\times10\\\\&=\sum^{19}_{k=1}k^2+20\times 10\\\\&=\cfrac{1}{6}\cdot19\cdot 20\cdot 39+200\\\\&=2670 …(答)\end{aligned}
普通の数列を群に分けた場合でも,項数に注目!
群数列には,普通の数列(等差数列や等比数列)を群に分けて作られたものもあります。
基本的なやり方は同じで,あくまで項数に注目していくことが大切です。
初項2,公差3の等差数列を,
2,5|8,11,14,17|20,23,26,29,32,35|38,41\cdots
のように,2個,4個,6個,8個…と区切って群に分け,左から第1群,第2群,…とよぶとき,
(1)第10群の4番目の数を求めよ。
(2)335は第何群の何番目の数か。
(3)第n群の初項を求めよ。
(4)第n群に含まれる数の総和を求めよ。
普通の数列を区切った問題の場合は,最初に群の切れ目をなくした数列の一般項を求めておきます。
2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38,41\cdots
初項2,公差3の等差数列になっているので,一般項a_Nは,
\begin{aligned}a_N&=2+(N-1)\cdot3\\\\&=3N-1\end{aligned}
小文字のnは群の番号に使うので,あえて大文字のNを使わせていただいております。
一般項を求めたあとは,項数に注目して考えていきます。
表にまとめてみます。
今回は,第1群には1×2=2項,第2群に2×2=4項,第3群に3×2=6項…なので,第k群にはk×2=2k項あることがわかります。
(1)第10群の4番目の数を求めよ。
第10群の4番目が,全体の何番目かが分かれば,それを一般項のNに代入して終了です。
第9群までの項数は,上表の赤枠の合計で,2+4+\cdots +18(個)
第10群の4番目は,そこからさらに4つ先なので,そこまでの項数は,
\begin{aligned} 2+4+6+\cdots+18+4&=\sum^9_{k=1}2k+4\\\\ &=2\cdot\cfrac{1}{2}\cdot9\cdot10+4\\\\ &=94(個) \end{aligned}
なので,一般項3N-1のNに94を代入して,求める項は,
\begin{aligned} 3\cdot94-1=281 \end{aligned}
(2)335は第何群の何番目の数か。
335というのは,項の値であって,項数ではないことに注意しましょう。
ここで言っている335は「335番目の項」という意味ではないですよね。
まずは335が元の数列の何番目の項かを求めます。
\begin{aligned} & a_N=335\\\\ &\Leftrightarrow 3N-1=335\\\\ &\therefore N=112 \end{aligned}
つまり,335は,元の数列の112番目の項ということがわかりました。
ここからは,例題1と同じ流れです。
次に,112番目の項が第何群に含まれるかを考えましょう。
112番目の項が第n群にあるとすると,
表にすると次のように。
第112項は,第n-1群の最後の項と,第n群の最初の項の間にあります。
第n-1群までの項数(上表の青枠)は,
2+4+\cdots+2(n-1)=\displaystyle{\sum^{n-1}_{k=1}2k}=2\cdot\cfrac{1}{2}(n-1)n=(n-1)n(個)
第n群までの項数(上表の赤枠)は,
2+4+\cdots+2n=\displaystyle{\sum^{n}_{k=1}k}=2\cdot\cfrac{1}{2}n(n+1)=n(n+1)(個)
これらの間に112があるので,
(n-1)n<112\leqq n(n+1)
第112項が,ちょうど第n群の最後の項という可能性もあるので,右側の不等号にはイコールをつけておきます。
やはり今回も,nにてきとうな数字を代入して,成り立つかどうかを調べていきます。
今回は,10×10が100なので,10あたりを調べます。
n=10のとき,(n-1)n=9\cdot10=90,n(n+1)=10\cdot11=110 で,×\\n=11のとき,(n-1)n=10\cdot11=110,n(n+1)=11\cdot12=132 で,◯
ということで,不等式をみたすnは11ということがわかりました。
つまり,112番目の項(すなわち335)は第11群にあることがわかりました。
あとは,第11群の何番目にあるかを見つければ終了です。
第10群の最後までの項数(表の赤枠)は,
2+4+\cdots +20=\sum^{10}_{k=1}2k=2\cdot\cfrac{1}{2}\cdot10\cdot11=110(個)
ここで,112-110=2より,
112番目の項(つまり335)は,第11群の2番目 …(答)
(3)第n群の初項を求めよ。
(3)は意外と単純です。
「第n群の初項」が元の数列の何番目の項か?を求めて,一般項のNに代入すればOKです。
第n-1群までの項数(上表の赤枠)は,
2+4+6+\cdots+2(n-1)=\sum^{n-1}_{k=1}2k=2\cdot\cfrac{1}{2}(n-1)n=n^2-n(個)
で,その次の項が「第n群の初項」なので,それはn^2-n+1(番目)ということ。
これを一般項3N-1のNに代入して,第n群の初項は,
3(n^2-n+1)-1=3n^2-3n+2
これが答えです。
(4)第n群に含まれる数の総和を求めよ。
元の数列が公差3の等差数列なので,第n群だけを抜き出しても,やはり公差3の等差数列です。
第n群は,初項3n^2-3n+2,公差3,項数2nの等差数列になっているので,公式通りに和を求めるだけです。
初項a,公差d,項数nの等差数列の和は,
\cfrac{n}{2}\{2a+(n-1)d\}
今回は初項\color{red}aの代わりに\color{red}3n^2-3n+2,公差\color{blue}dの代わりに\color{blue}3,項数\color{green}nの代わりに\color{green}2nが入るので,求める和は,
\begin{aligned} & \cfrac{\color{green}2n}{2}\{2({\color{red}3n^2-3n+2})+({\color{green}2n}-1)\cdot{\color{blue}3}\}\\\\ &=n(6n^2+1)\\\\ &=6n^3+n \end{aligned}
まとめ:群数列はとにかく項数を追いかけよう
今回は,群数列の基本的な解き方を紹介しました。
すべての問題形式を網羅することは難しいですが,いずれにせよ,項数を追いかけることが最大のポイントです。
問題を解いたり解説を読んだりしているときに,項数の話をしているのか,項の値の話をしているのか,見失わないように,慎重に進めていきましょう。
また,群ごとの様子を把握しやすいように,表にまとめて考えるのがおすすめです。
群数列は苦手な人がとても多い分野です。この記事を参考にして,周りに差をつけていきましょう!
群数列と並び,数列の苦手ポイント二大巨頭の一角ともいえる「漸化式」についても説明しているので,ぜひ読んでみてくださいね。
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