「3の倍数の各位の数字を足すと,3の倍数になる」
ということが知られています。
「じゃあ4の倍数も,各位を足すと4の倍数に…」は,なりません。
今回は,2の倍数から9の倍数までの判定法と,それぞれの理由を説明します。
粗茶
- 文系に特化して数学を分かりやすく教える高校数学の専門家
- 指導歴14年
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2の倍数の判定法:一の位が偶数
2の倍数は偶数のことなので,一の位が偶数(0・2・4・6・8)になっています。
偶数についてはほぼ定義なので,特に説明することもないです。
3の倍数の判定法:各位の和が3の倍数
3の倍数は,各位の数字を合計すると3の倍数になります。
例えば
・1+2+3=6は3の倍数になるので,123は3の倍数です。
・1+3+6=10は3の倍数ではないので,136の倍数ではありません。
のようにして判定できます。
この理由がちょっと長くなるので,気になる方はこちらをクリック↓
3の倍数の各位の和が3の倍数になる理由
3桁の場合で説明します。
百の位が a,十の位が b,一の位が c であるような3桁の整数は,
100a+10b+c って表せます。
これを次のように変形していきます。
100a+10b+c
=(99+1)a+(9+1)b+c
=99a+9b+a+b+c
=\color{red}3(33a+3b)\color{black}+(a+b+c)
ここで,赤い部分 \color{red}3(33a+3b) は3の倍数なので,全体が3の倍数であるとき,残りの(a+b+c) も3の倍数になります。
ということで,a+b+c つまり各位の数字の和は3の倍数です。
理由はともかく,よく使う事実なので,おぼえておきましょう。
4の倍数の判定法:下2桁が4の倍数
4の倍数は,下2桁が4の倍数になります。
例えば
・624は下2桁が24(4の倍数)なので,4の倍数です。
・1297は下2桁が97(4の倍数でない)なので,4の倍数ではありません。
のようにして判定できます。
理由は単純です。
整数から下2桁の数字を引くと,必ず100の倍数になります。
(例:624−24=600,1297−97=1200)
100の倍数は4で割り切れるので,下2桁の数が4で割り切れるかどうかを判断すればいいことになります。
下2桁が4の倍数であるかは,4で割って確かめなきゃいけないんですけどね…
5の倍数の判定法:一の位が0か5
5の倍数は,一の位が0か5になります。
5の倍数についても,2のときと同様で特に説明することもないでしょう。
九九の5の段を思い出すと,わかりますね。
6の倍数の判定法:一の位が偶数かつ各位の和が3の倍数
6の倍数は,2でも3でも割り切れる数なので,2の倍数の条件と3の倍数の条件の両方を満たします。
つまり,一の位が偶数(2の倍数の条件)かつ,各位の和が3の倍数(3の倍数の条件)ということになります。
7の倍数の判定法:大変
7の倍数の判定法は,いくつかありますが,それぞれに大変な要素があります。
今回は計算回数は多いけどそれぞれの計算は難しくない判定法をやります。それは,
「一の位をぬいた数」−「一の位×2」を繰り返して,出た数が7の倍数ならば,7の倍数。
意味がわからないと思うので,具体的にやってみますね。
例えば,861が7の倍数かどうかを調べます。
861から一の位を抜くと86。
一の位は1なので,その2倍は2。
これらの差をとって,86−2=84
この84が7で割れるか判断してもいいですし,もう一回同じ計算をやってもいいです。
同じ計算をもう一回やってみると,
84から一の位を抜いて8。
一の位は4なので,その2倍は8。
これらの差をとって,8−8=0
0は7の倍数なので,84は7の倍数。さかのぼって考えると861も7の倍数である。と判断できました。
桁数が多くなると手間が増えますが,それぞれの計算は易しいので,判定法を使うならば,これがおすすめです。
理由は長くなるので,気になる方はこちらをお読みください↓
7の倍数の一の位を抜いた数から一の位の2倍を引いた数は7の倍数である理由
ここでは3桁の数で説明します。
百の位が a,十の位が b,一の位が c であるような3桁の整数は,
100a+10b+c って表せます。
これを次のように変形していきます。
100a+10b+c
=100a+10b-20c+21c
=10({\color{red}10a+b-2c})+{\color{blue}7\cdot 3c}
ここで,青い部分 {\color{blue}7\cdot 3c} は7の倍数なので,
赤い部分 {\color{red}10a+b-2c}
つまり,10a-b(一の位を抜いた数)から 2c(一の位の2倍)を引いたもの
が7の倍数であれば,元の数も7の倍数ということになる。
最初から7で割ったほうが早いかも…
8の倍数の判定法:下3桁が8の倍数
8の倍数は,下3桁が8の倍数になります。
例えば
・6824は下3桁が824(8の倍数)なので,8の倍数です。
・51297は下3桁が297(8の倍数でない)なので,8の倍数ではありません。
のようにして判定できます。
理由は4の倍数のときと同じです。
整数から下3桁の数字を引くと,必ず1000の倍数になります。
(例:6824−824=6000,51297−297=51000)
1000の倍数は8で割り切れるので,下3桁の数が8で割り切れるかどうかを判断すればいいことになります。
3桁の数を8で割って確かめる必要があるので微妙かも…
9の倍数の判定法:各位の和が9の倍数
9の倍数は,各位の数字を合計すると9の倍数になります。
例えば
・5+2+2=9は9の倍数になるので,522は9の倍数です。
・2+2+3+5=12は9の倍数ではないので,2235は9の倍数ではありません。
のようにして判定できます。
理由は3の倍数のときと同様ですが,気になる方はこちらをクリック↓
9の倍数の各位の和が9の倍数になる理由
3桁の場合で説明します。
百の位が a,十の位が b,一の位が c であるような3桁の整数は,
100a+10b+c って表せます。
これを次のように変形していきます。
100a+10b+c
=(99+1)a+(9+1)b+c
=99a+9b+a+b+c
=\color{red}9(11a+b)\color{black}+(a+b+c)
ここで,赤い部分 \color{red}9(11a+b) は9の倍数なので,全体が9の倍数であるとき,残りの(a+b+c) も9の倍数になります。
ということで,a+b+c つまり各位の数字の和は9の倍数です。
3の倍数と9の倍数のときは,各位の和を考えることができます。他のときは使えないので注意。
倍数の判定法 まとめ
今回は,2〜9の倍数を判定する方法を紹介しました。
まとめると次のようになります。
- 2の倍数…一の位が偶数
- 3の倍数…各位の和が3の倍数
- 4の倍数…下2桁が4の倍数
- 5の倍数…一の位が0か5
- 6の倍数…一の位が偶数かつ各位の和が3の倍数
- 7の倍数…「一の位を抜いた数」−「一の位の2倍」が7の倍数
- 8の倍数…下3桁が8の倍数
- 9の倍数…各位の和が9の倍数
倍数の判定法は,整数の問題だけでなく,場合の数や確率でも使う機会があるので,しっかり覚えておきましょう!
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