絶対値を含む方程式・不等式は怖くない!解き方の「形」を身につけよう。

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学生の方

方程式や不等式に絶対値が入っていると,突然難しくなるよね…

絶対値を含む方程式・不等式の解き方で悩んでいませんか?

実は,絶対値の方程式・不等式は,やり方を覚えれば決して難しい問題ではありません。

なぜなら絶対値の場合分けや,方程式・不等式の形はほとんど決まっているからです。

この記事では,絶対値を含む方程式・不等式の攻略法を,式のパターン別にわかりやすく説明します。

この記事を読めば,式に絶対値が出てきても恐れることはなくなります。

絶対値の方程式・不等式を得意分野にして,友達と差をつけちゃいましょう!

この記事を読むとわかること
  • 絶対値を含む方程式・不等式の解き方がわかる

絶対値のはずしかたについては,以下の記事もお読みください。

この記事を書いた人
粗茶
  • 高校数学・高校公民・中学社会担当の現役塾講師
  • 講師歴13年
  • 13年の指導経験で知った「生徒がつまづきやすいポイント」や「教科書よりも効率の良い解法」をわかりやすく発信しています。
目次

絶対値の方程式・不等式は場合分け…とは限らない。

学生の方

絶対値の方程式と不等式って,毎回場合分けしなきゃいけないから大変…

絶対値といえば,必ず「場合分け」が必要だと思っていませんか?

実は,方程式・不等式によっては,場合分けをしなくても解ける場合があります。

見分ける基準は,「絶対値の個数」と「絶対値の外にxがあるかどうか」の2点。

方程式・不等式の中に絶対値が1つだけで,かつ,絶対値の外にxがないとき,場合分け不要で解くことができます。

場合分けが不要な例
  • |x|=5
  • |3x+2|<8
  • |2x|+3\geqq 0

絶対値記号が1つであればいいので,絶対値の中身はどんな式であっても大丈夫です。

一方,方程式・不等式の中に絶対値が2つ以上あるか,または,絶対値の外にxがあるときは,必ず場合分けをします

場合分けが必要な例
  • |x+2|-|x-3|=5(絶対値が2つ)
  • |3x+2|<x+8(絶対値の外にもxがある)
  • |2x|+|5-3x|-|x^2+4x-3|-x^2+7x\geqq 0(絶対値が2つ以上で,かつ,絶対値の外にもxがある)

それぞれの場合について,方程式と不等式の解き方を解説していきます。

絶対値の方程式・不等式:場合分けが不要なもの

絶対値の方程式・不等式のうち,絶対値が1つだけで,絶対値の外にxがない場合は,場合分けが不要です。

例題1

次の方程式・不等式を解け。

(1)|x|=5

(2)|x|<4

(3)|x|>2

絶対値の定義である「距離」の考え方で解けますよ。

絶対値の定義

数直前上で原点(0)から,ある実数aまでの距離を「a絶対値」といい,

\LARGE{|a|}

と書く。

(1)

|x|=5は,「0からxまでの距離が5」という意味。

図にするとこうなります。

0からの距離が5になるようなx5-5なので,答えは,

x=\pm 5 …(答)

(2)

|x|<4は,「0からxまでの距離が4より小さい」という意味。

図にするとこうなります。

0からの距離が4より小さくなるようなxの範囲は,4-4の間なので,答えは,

-4<x<4 …(答)

(3)

|x|>2は,「0からxまでの距離が2より大きい」という意味。

図にするとこうなります。

0からの距離が2より大きくなるようなxの範囲は,-2より左の範囲と,2より右の範囲なので,答えは,

x<-2,2<x …(答)

「絶対値」=「距離」という考え方を使えば,場合分けなしで方程式や不等式を解くことができます。

一応,公式になっているので,まとめておきます。

絶対値の方程式・不等式(場合分け不要なもの)

xを実数,aを0以上の定数とする。

\begin{aligned}
|x|=a& \Leftrightarrow x=\pm a\\\\
|x|< a& \Leftrightarrow -a < x < a\\\\
|x|> a& \Leftrightarrow x<-a,a< x 
\end{aligned}

公式は覚えていいのですが,いつも数直線のイメージすると考えやすいです。

例題2

次の方程式・不等式を解け。

(1)|x-2|=5

(2)|x+3|<4

(3)|2x-5|>2

絶対値の中身が多項式になっている場合も考え方は同じ。公式のxのところを置き換えればOK。

(1)公式のxのかわりにx-2にします。

\begin{aligned}
& |x-2|=5\\\\
&\Leftrightarrow x-2=\pm 5\\\\
&\Leftrightarrow x=2\pm 5\\\\
&\Leftrightarrow x=7,-3 \cdots(答)
\end{aligned}

(2)公式のxのかわりにx+3にします。

\begin{aligned}
& |x+3|<4\\\\
&\Leftrightarrow -4< x+3 < 4 \\\\
&\Leftrightarrow -7< x < 1 \cdots(答)
\end{aligned}

(3)公式のxのかわりに2x-5にします。

\begin{aligned}
& |2x-5|>2\\\\
&\Leftrightarrow 2x-5<-2,2<2x-5 \\\\
&\Leftrightarrow 2x<3,7<2x \\\\
&\Leftrightarrow x <\cfrac{3}{2},\cfrac{7}{2} < x \cdots(答)
\end{aligned}

絶対値の方程式・不等式:場合分けが必要なもの

絶対値の方程式・不等式は,多くの問題で,場合分けが必要です。

絶対値の場合分けは,中身の符号が0以上か負かで分けるんでしたね。

絶対値の外し方

aを実数とする。

|a|=\begin{aligned}
\left\{
\begin{array}{l}
a&(a\geqq 0のとき)\\\\
-a&(a<0のとき)
\end{array}
\right.
\end{aligned}

絶対値の方程式や不等式を解くときには,絶対値の部分を場合分けして,それぞれの場合について式を解いていきます。

例題3

次の方程式・不等式を解け。

(1)|x-2|=5

(2)|x+3|<4

学生の方

これ,さっきの例題2と同じ問題じゃん!

場合分け不要!と紹介した形の方程式や不等式も,場合分けで解くことは可能です。

同じ問題ですが,今度は場合分けする方法で解いてみます。

(1)

|x-2|=\left\{\begin{array}{l}x-2&(x\geqq 2のとき)\\\\
-(x-2)&(x<2のとき)
\end{array}
\right.

と場合分けできる。

 

(ⅰ)x\geqq 2のとき

\begin{array}{l}|x-2|=5\\\\
x-2=5\\\\
\therefore x=7
\end{array}

これはx\geqq 2を満たす。

粗茶さん

出てきた答えが場合分けの範囲x\geqq 2を満たしているか必ず確認しましょう。

 

(ⅱ)x<2のとき

\begin{array}{l}|x-2|=5\\\\
-(x-2)=5\\\\
-x+2=5\\\\
\therefore x=-3
\end{array}

これはx<2を満たす。

 

以上(ⅰ)(ⅱ)より,

x=7,-3 \cdots(答)
粗茶さん

当たり前ですが,例題2と同じ答えです。

(2)

|x+3|=\left\{\begin{array}{l}x+3&(x\geqq -3のとき)\\\\
-(x+3)&(x<-3のとき)
\end{array}
\right.

と場合分けできる。

 

(ⅰ)x\geqq -3のとき

\begin{array}{l}|x+3|<4\\\\
x+3<4\\\\
\therefore x<1
\end{array}
粗茶さん

不等式の場合は,出てきた答えと,場合分けの範囲との共通部分を答えます。

これと,x\geqq -3(場合分けの範囲)との共通部分は,

-3\leqq x < 1

 

(ⅱ)x < -3のとき

\begin{array}{l}|x+3|<4\\\\
-(x+3)<4\\\\
-x-3<4\\\\
\therefore x>-7
\end{array}

これと,x < -3(場合分けの範囲)との共通部分は,

-7 < x <-3

 

(ⅰ)または(ⅱ)より,求める解は,

-7 < x < 1\cdots(答)

このようにして,場合分けで解くこともできます。

方程式の場合は,出てきた答えが場合分けの範囲に当てはまっているかどうか確認

不等式の場合は,出てきた答えと場合分けの範囲との共通部分を答える

ことに注意しましょう。

例題4

次の方程式・不等式を解け。

(1)x^2-|2x-1|-3=0

(2)|x+3|+|2x-1|=5

(3)|x-2|-|3x+2|\geqq 2

すべて場合分けで解くしかないパターンです。

(1)

|2x-1|=
\left\{
\begin{array}{l}
2x-1&\left(x\geqq\cfrac{1}{2}のとき\right)\\\\
-(2x-1)&\left(x<\cfrac{1}{2}のとき\right)
\end{array}
\right.

と場合分けできる。

 

(ⅰ)x\geqq \cfrac{1}{2}のとき

\begin{array}{rcl}
x^2-(2x-1)-3&=&0\\\\
x^2-2x-2&=&0\\\\
\therefore x&=&1\pm\sqrt{3}
\end{array}
粗茶さん

場合分けの範囲に当てはまっているかを確認しましょう。

ここで,x=1-\sqrt{3}は,x\geqq\cfrac{1}{2}を満たさないので不適。

したがって,

x=1+\sqrt{3}

 

(ⅱ)x<\cfrac{1}{2}のとき

\begin{array}{rcl}
x^2-\{-(2x-1)\}-3&=&0\\\\
x^2+2x-4&=&0\\\\
\therefore x&=&1\pm\sqrt{5}
\end{array}

ここで,x=1+\sqrt{5}は,x<\cfrac{1}{2}を満たさないので不適。

したがって,

x=1-\sqrt{5}

 

以上(ⅰ)(ⅱ)より,

x=1+\sqrt{3},1-\sqrt{5} \cdots(答)

(2)2つの絶対値があるときは,それぞれを場合分けして,2つを合体させます。

|x+3|=\left\{\begin{array}{l}
x+3&(x\geqq-3のとき)\\\\
-(x+3)&(x<-3のとき)
\end{array}\right.
|2x-1|=\left\{\begin{array}{l}
2x-1&(x\geqq\cfrac{1}{2}のとき)\\\\
-(2x-1)&(x<\cfrac{1}{2}のとき)
\end{array}\right.

この2つを合体させて,

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: -2023-10-12-23.22.55-1024x365.png

(ⅰ)x<-3のとき

\begin{array}{rcl}
-(x+3)+\{-(2x-1)\}&=&5\\\\
-3x-2&=&5\\\\
\therefore x&=&-\cfrac{7}{3}
\end{array}

これは,x<-3を満たさず,不適。

 

(ⅱ)-3\leqq x <\cfrac{1}{2}のとき

\begin{array}{rcl}
(x+3)+\{-(2x-1)\}&=&5\\\\
-x+4&=&5\\\\
\therefore x&=&-1
\end{array}

(これは-3\leqq x < \cfrac{1}{2}を満たす。)

 

(ⅲ)\cfrac{1}{2} \leqq xのとき

\begin{array}{rcl}
(x+3)+(2x-1)&=&5\\\\
3x+2&=&5\\\\
\therefore x&=&1
\end{array}

(これは\cfrac{1}{2} \leqq xを満たす。)

 

以上(ⅰ)〜(ⅲ)より,

x=\pm 1 \cdots(答)
粗茶さん

x=-1x=1が適する答えだったので,まとめちゃいました。

(3)不等式になっても,場合分けは同じです。

|x-2|=\left\{\begin{array}{l}
x-2&(x\geqq2のとき)\\\\
-(x-2)&(x<2のとき)
\end{array}\right.
|3x+2|=\left\{\begin{array}{l}
3x+2&(x\geqq-\cfrac{2}{3}のとき)\\\\
-(3x+2)&(x<-\cfrac{2}{3}のとき)
\end{array}\right.

この2つを合体させて,

(ⅰ)x<-\cfrac{2}{3}のとき

\begin{array}{rcl}
-(x-2)-\{-(3x+2)\}&\geqq&2\\\\
2x+4&\geqq&2\\\\
\therefore x&\geqq&-1
\end{array}

これと,x<-\cfrac{2}{3}共通部分は,

-1\leqq x<-\cfrac{2}{3}

 

(ⅱ)-\cfrac{2}{3}\leqq x <2のとき

\begin{array}{rcl}
-(x-2)-(3x+2)&\geqq&2\\\\
-4x&\geqq&2\\\\
\therefore x&\leqq&-\cfrac{1}{2}
\end{array}

これと,-\cfrac{2}{3}\leqq x <2共通部分は,

-\cfrac{2}{3}\leqq x \leqq -\cfrac{1}{2}

 

(ⅲ)2\leqq xのとき

\begin{array}{rcl}
(x-2)-(3x+2)&\geqq&2\\\\
-2x-4&\geqq&2\\\\
\therefore x&\leqq&-3
\end{array}

これと2\leqq x共通部分は存在しない。

 

(ⅰ)または(ⅱ)または(ⅲ)より,

-1\leqq x\leqq -\cfrac{1}{2} \cdots(答)
粗茶さん

場合分けの範囲との共通部分をそれぞれ求めて,最後に足し合わせます。

絶対値の数が増えると,場合分けの数も増えるので,手間が多くなりますが,基本的な解き方は変わりません。

場合分けが必要な方程式・不等式

・方程式→出てきた答えが場合分けの範囲を満たすかを確認

・不等式→出てきた答えと場合分けの範囲の共通部分を答えにする

これらを徹底しましょう。

まとめ:解き方の形を身につけよう

この記事では,絶対値を含む方程式・不等式の解き方を紹介しました。

今回の内容をおさらいしましょう。

絶対値の方程式・不等式 場合分けが必要?
  • 絶対値が1つだけで,かつ,絶対値の外にxがない→場合分け不要
  • 絶対値が2つ以上または絶対値の外にxがある→場合分けする
場合分けする方程式・不等式 注意すること
  • 方程式→出てきた答えが場合分けの範囲を満たすかを確認
  • 不等式→出てきた答えと場合分けの範囲の共通部分を答えにする

場合分けが必要なときでも,分けることができれば,それぞれの計算自体は難しくないはずです。

それぞれの計算結果が場合分けの範囲に含まれているかも,必ず確認しましょう。

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