選挙制度の比例代表制を学習すると,「ドント式」で政党ごとの議席配分を計算する問題が出ます。
各政党の獲得議席数を÷1,÷2,÷3,…と,整数で割っていき,その答えを使う方法です。
いつも思うんだけど,どこまで割ればいいのかわかんないんだよね。
ドント式の計算って,割り算をどこまで続ければいいのかがわからなくなりますよね。
実際,割り算の回数が少なすぎると,答えを間違えてしまうし,割り算の回数が多すぎても,無駄な計算になってしまいます。
そこで今回は,ドント式の計算を,どこまで割るか迷わずに,無駄な計算もなく求める方法を考えました!
ドント式の計算は,問題によってどこまで割るのが適切なのかが変わってきます。
しかし私が考えた手順に従って機械的に計算すれば,無駄なく,正確に答えを求めることができてしまいます。
「ドント式のやりかたがわからない」と悩んでいた生徒たちも,サクサク解けるようになりました。
テストでドント式の問題が出てきたら,「ラッキー!」と思えるようになること間違いなし!
この記事では,ドント式の計算を「丸をつけながら割り算する」方式で,確実に解く方法をご紹介します。
一緒に手を動かしてやっていただき,テストの得点アップにつながると嬉しいです。
ドント式の計算(教科書的方法)
まずは,ドント式の計算の一般的な方法を紹介します。
※知ってる人は,ドント式の新しい計算法へジャンプしてもOKです。
比例代表制は,全体の議席数が決まっていて,議席を複数の政党で取り合う方式です。
政党ごとに入った表の数に応じて議席を振り分けますが,きりのいい数字に分かれることはありません。
そこで考え出されていたのがドント式です。
- 各政党の獲得議席数を1,2,3,…と,整数で割っていく
- 割り算の答えの大きい順に,全体の議席数だけ丸をつける
- 各政党ごとについた丸の数が,獲得議席数となる。
具体的な問題でやってみます。
とある選挙で各党の得票数が下表のようになった。各党の獲得議席数を求めなさい。ただし,ドント式を用い,定数は9とします。
まずは,それぞれの議席数を1,2,3,…で割っていきます。÷1も一応書きましょう。
次に,割り算の答え(上の表では赤枠)のなかから,大きい順に丸をつけていきます。
今回の定数は9なので,大きい順に9個選びます。
各政党についた◯の数が,獲得議席数になります。
よって,獲得議席数は,
A党4議席,B党3議席,C党1議席,D党1議席 …(答)
このようにして,得票率に応じた議席配分が求められるのです。
ドント式の教科書的な手順の問題点
ここまで,ドント式計算の教科書的な手順を紹介しました。
しかしながらこの方法には2つの問題点があります。
- どこまで割ればいいかはっきりしない
- 答えに使わない計算が多い
教科書で習うドント式計算の問題点①:どこまで割ればいいかはっきりしない
1つ目の問題点は,どこまで割ればいいのかわからないということです。
議席数を割っていくときに,割る回数が少なすぎると,答えを間違えてしまいます。
今回の練習問題の場合でも,起こり得ます。
÷3までで丸をつけはじめてしまうと,本当はA党が4議席目を取れることに気づかず,間違った答えになってしまいます。
ならばということで,多めに÷5とか÷6もやってもいいんだけど,結局それらの計算は解答に影響しません。
どこまで割ればいいか?の境目を見極めるのが難しかったりします。
教科書で習うドント式計算の問題点②:答えに使わない計算が多い
2つ目の問題点は,答えに関係ない計算が多いということです。
丸をつけなかった数字は,答えに関係ないので,割り算した意味ないですよね。
上の表をみてもわかりますが,答えに関係ない計算が半分近くあります。
割り算も楽じゃないので,無駄は省いていきたいなあ。
どこまで割るか,もう迷わない!ドント式の新しい計算法
そこでわたくし,ドント式の計算方法をアップデートしました。
この手順でいくと,どこまで割ればいいか迷うこともなく,無駄な割り算をすることもありません。
手順は次のとおりです。丸をつけながら割り算をします。
- 各党の一番下の数どうしを比べて,一番大きい数に丸をつける。
- 丸がついたところの下のマスだけ割り算する。
- 定数の数だけ丸がつくまで,❶・❷を繰り返す。
同じ問題でやってみます。
あなたも一緒に書きながらやってみてくださいね。
とある選挙で各党の得票数が下表のようになった。各党の獲得議席数を求めなさい。ただし,ドント式を用い,定数は9とします。
とりあえず,÷1だけやります。÷1の答えに色を付けておきました。
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつけます。
丸がついたら,丸の下のマスだけ計算。
次は,各党の一番下の数(色をつけたもの)を比べて,一番大きいものに丸をつけます。B党ですね。
丸がついたら,丸の下のマスだけ計算。
色の付いた4つの数字を比べて,一番大きいものに丸をつける。これを丸が9個つくまで続けます。
丸の下だけ計算して,
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつける。
240が2つありますが,丸をつける順番はどっちが先でもOK。
(最後の1議席が同数で並ぶ場合はくじで決めるそうです)
丸の下だけ計算して,
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつける。
丸の下だけ計算して,
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつける。
丸の下だけ計算して,
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつける。
160が2つありますが,丸をつける順番はどっちが先でもOK。
丸の下だけ計算して,
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつける。
丸の下だけ計算して,
色の付いた4つの中で,一番大きいものに丸をつける。
これで9個の丸がついたので,計算終了です。
割り算の回数を必要最小限におさえることができました!
ドント式の計算は,丸をつけながら割り算をする
ドント式の計算は,丸をつけながら割り算すると,どこまで割ればいいのか迷わずにすみます。
具体的な手順をまとめておきましょう。
- 各党の一番下の数どうしを比べて,一番大きい数に丸をつける。
- 丸がついたところの下のマスだけ割り算する。
- 定数の数だけ丸がつくまで,❶・❷を繰り返す。
この方法で解けば,毎回どこまで割ればいいか悩むこともなく,確実に正解を出すことができます。
今日からはドント式の問題を最速で解いて,他の問題に時間をつかえますね!
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