iPhoneの電卓で大きな数の計算をすると、なにやら見慣れない表示になることがあります。
例えば123456789×123456789を電卓でやってみると…

あれ、小数になった。
1,52416…e!
eって何!eって!
eはエラー(error)のeなんだろうと思って、そっとCボタンを押してしまう方が多いことでしょう。
ですが、このeはエラーではありません。
電卓は、表示桁をオーバーする計算でも、しっかり答えを出そうとしてくれているのです。
そんな電卓の心の叫びをお届けします。
計算結果のeは「×10の○乗」の意味だった!
電卓に表示されたeは、「×10の○乗」を意味しています。
計算結果は、次図のように2つの部分に分かれています。

- eよりも左の部分…具体的な数字
- eから右の部分…桁数
という構造になっています。
桁数部分の「e16」とは,\times 10^{16}のことなので,この数は,
1.52416\times 10^{16}つまり,1.52416に10を16回かけた数
という意味になります。具体的な数字は,
1.52416×10000000000000000=15241600000000000
ということになります。
もちろん実際の値は末尾が00000…ではないので,おおよその値を示していますよ,ということになります。
ExcelではEが出てくる
ほんとにその値になるのか気になったのですが,手計算もしたくなかったので,Excelに計算してもらいました。
すると…

Excelでも同じの出てきた!!
Excelの場合は,Eが大文字で,その後に+がついていますが,意味は同じです。
Excelならたくさんの桁を出してくれると思ったのですが,甘かったです。
おとなしく123456789×123456789を筆算で計算をすることに。すると,

見たことのないような長さの筆算になりましたが,答えは
15241582450190521
になりました。先程の近似値
15241600000000000
は,筆算の答えの上から7桁目を四捨五入した形になっていることがわかりました。
キャパオーバーでもできる限り答えを伝えようとする,電卓の涙ぐましい努力のあとがみられますね。
ここでのeは,指数とか累乗を表す英単語・exponentの頭文字eをとっているようです。
数Ⅲで習う自然対数の底e(2.71…)のことではないですよ。
eはマイナス乗も表現している
逆に,ものすごい大きな数で割り算すると,0.000000…ってなります。
そのときにもeが登場します。
例えば,1÷123456789をすると,

ドドーン!
なんとも潔い答えを出してくれました。
この「e-9」は,「10のマイナス9乗をかける」という意味です。
「10の9乗」が,「10を9回かける」という意味であるのに対して,
「10のマイナス9乗」は,「10で9回割る」ということになります。
ので,この数は,8.1の小数点を左に9回動かして…
0.0000000081
ということになります。
これまたあくまで近似値ということになるのですが,
実際に割り算をすると,

確かに0.0000000081…になっていました。
ちなみに,これは循環小数の書き方をすると
0.\dot{0}000000008\dot{1}
ということになるみたい。(今回はあまり関係ない)
eは電卓からの心の叫びだった。
電卓でのeは「10のなんとか乗」を表す。というお話でした。
エラーだと思ってすぐに消してしまわずに,必死に計算結果を私達に伝えようとする電卓の心の叫びに耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
ちなみに,本当にエラーの場合,iPhoneの電卓では,

カナカナで「エラー」ってでてくるので,わかりやすいです。
