学生の方3項間の漸化式をならったんだけど、なんか複雑すぎて、忘れてしまいたい…
数列の単元で、多くの人がつまずきやすいのが3項間漸化式です。
たとえば、こういうのですね。
a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_nこれは、次の項 (a_{n+2}) が、直前の項 (a_{n+1}) と、そのさらに前の項 (a_n) によって決まる漸化式です。
この記事では、高校数学Bで扱う3項間漸化式について、基本の考え方から例題まで順番に解説します。
3項間漸化式とは?
3項間漸化式とは、数列の3つの項の関係を表した漸化式です。
代表的な形は、次のようなものです。
a_{n+2}=pa_{n+1}+qa_na_{n+1}とa_nを用いて,a_{n+2}を求めることができます。
たとえば、最初にも出てきた
a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_nという漸化式について、
a_1=1,\quad a_2=5
がわかっていれば、そこから順番に
\begin{array}{ll}
a_3=5a_2-6a_1=5\cdot5-6\cdot1=19,\\\\
a_4=5a_3-6a_2=5\cdot19-6\cdot5=65,\\\\
a_5=5a_4-6a_3=5\cdot65-6\cdot19=211
\end{array}のように、a_3以降の値も次々に求めることができます。
学生の方順番に出るのはいいけど、永遠にやってられないでしょ。
粗茶さんそれだけで終わるわけにはいかないので、通常は一般項を求める問題が出題されます。
基本的な3項間漸化式
まずは、一番オーソドックスな問題をやってみましょう。
次の漸化式で表される数列{a_n}の一般項を求めよ。
a_1=1,\quad a_2=5,\quad a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n解き方の発想について解説しますが、ちょいと長くなるので、結論だけ知りたい人はスキップしてね。
とても強引ではありますが、
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n) \cdots(*)という形に変形できないかなあ。と思ってください。
学生の方どこかで聞いたことがある流れだ。
で、a_{n+1}-\alpha a_n=b_nっておくと、
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=b_{n+1}になって、(*)は、
b_{n+1}=\beta b_nとなるので、数列{b_n}は公比\betaの等比数列となって、計算ができそうです。
じゃあ、この\alphaと\betaはどうやって求めればよいのかな?ということを考えましょう。
(*)を展開して整理すると、
\begin{array}{l}
&a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)\\\\
\Leftrightarrow&a_{n+2}-(\alpha+\beta)a_{n+1}+\alpha\beta a_n=0
\end{array}であり、もとの漸化式の右辺を移行した式
a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_n=0 \cdots(★)と係数を比べると、
\left\{
\begin{array}{l}
\alpha+\beta=5\\\\
\alpha\beta=6
\end{array}
\right.です。つまり、たして5、かけて6となるような2つの数がそれぞれ\alphaと\betaということになります。
そんな2つの数って、こんなふうにして求められるって、覚えてますか?
2つの数\alpha,\betaを解に持つ2次方程式の1つは
x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta=0
今回は\alpha+\beta=5,\alpha\beta=6だったので、\alphaと\betaは、2次方程式
x^2-5x+6=0
の解であることがわかります。
学生の方何か似たような式があったような…
実はこの式、もとの漸化式を移行して作った、
a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_n=0 \cdots(★)のa_{n+2},a_{n+1},a_nを、それぞれx^2,x,1に置き換えたものになっているんですね。
そして、これが3項間漸化式の特性方程式なのです。
この特性方程式を解いて、その解を
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n) \cdots(*)の\alphaと\betaをあてはめて、等比数列の形を作る。
というのが流れとなります。
学生の方特性方程式って解が2個でてくるじゃん?どっちをαにすればいいの?
今回の特性方程式を解くと、
\begin{array}{ll}
&x^2-5x+6=0\\\\
&(x-2)(x-3)=0\\\\
\therefore&x=2,3
\end{array}となるのですが、解が2つ出てくる場合は、\alpha=2,\beta=3のバージョンと、\alpha=3,\beta=2のバージョンの2つの式を作りますよ。
長くなりましたが、やり方をまとめると、こんな感じ。
漸化式
a_{n+2}=pa_{n+1}+qa_nの、a_{n+2},a_{n+1},a_nを、それぞれx^2,x,1に置き換えた特性方程式
x^2=px+q
の解を\alpha,\betaとして,以下の2式をつくる。
\left\{
\begin{array}{l}
a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_n)\\\\
a_{n+2}-\beta a_{n+1}=\alpha(a_{n+1}-\beta a_n)
\end{array}
\right.これに従って解いていきましょう。
\begin{array}{ll}
&x^2=5x-6\\\\
\Leftrightarrow&x^2-5x+6=0\\\\
\Leftrightarrow&(x-2)(x-3)=0\\\\
\therefore&x=2,3
\end{array}これを用いて、漸化式は以下のように2通りに変形できる。
\left\{
\begin{array}{ll}
a_{n+2}-2 a_{n+1}=3(a_{n+1}-2 a_n)\cdots①\\\\
a_{n+2}-3 a_{n+1}=2(a_{n+1}-3 a_n)\cdots②
\end{array}
\right.①より、数列{a_{n+1}-2a_n}は、初項a_2-2a_1=5-2\cdot1=3、公比3の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&a_{n+1}-2a_n=3\cdot 3^{n-1}\\\\
\therefore&a_{n+1}-2a_n=3^n \cdots①'
\end{array}②より、数列{a_{n+1}-3a_n}は、初項a_2-3a_1=5-3\cdot1=2、公比2の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&a_{n+1}-3a_n=2\cdot 2^{n-1}\\\\
\therefore&a_{n+1}-3a_n=2^n \cdots②'
\end{array}①’と②’から、a_{n+1}を消去することで、a_nを求めることができます。
\left\{
\begin{array}{ll}
a_{n+1}-2a_n=3^n\cdots①'\\\\
a_{n+1}-3a_n=2^n\cdots②'
\end{array}
\right.①’ー②’より、
a_n={\color{red}3^n-2^n} \cdots(答)これが答えになります。
なかなか手間がかかりますが、順を追って計算していけば、答えにたどり着くことができます。
特性方程式が重解になる場合の3項間漸化式
例題1を踏まえつつ、こちらの問題もやってみましょう。
次の漸化式で表される数列{a_n}の一般項を求めよ。
a_1=2,\quad a_2=6,\quad a_{n+2}=4a_{n+1}-4a_n初手は同じなので、特性方程式を作って解きましょう。
\begin{array}{ll}
&x^2=4x-4\\\\
\Leftrightarrow&x^2-4x+4=0\\\\
\Leftrightarrow&(x-2)^2=0\\\\
\therefore&x=2
\end{array}
学生の方あれ、解が1個だよ?
問題によっては、特性方程式の解が1個(重解)になる場合があります。
重解になった場合は、αもβも同じ数字をあてはめます。
今回の場合は両方2が入るので、漸化式は
a_{n+2}-2 a_{n+1}=2(a_{n+1}-2 a_n)と変形できます。式は1つしか作れないので、この1つの式だけで最後まで進めていきます。
数列{a_{n+1}-2a_n}は、初項a_2-2a_1=6-2\cdot2=2、公比2の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&a_{n+1}-2a_n=2\cdot 2^{n-1}\\\\
\therefore&a_{n+1}-2a_n=2^n
\end{array}例題1のように2つの漸化式を連立させてa_{n+1}を消すことはできないので、この式だけで一般項まで持っていきます。
何かのn乗がついている漸化式は、次のポイントが大事でしたね。
r^nのようなものがついている漸化式は、r^{n+1}で割る!
n乗関係のもの(n+1乗とかn-1乗などでも)がついている場合は、両辺をn+1乗で割ることで、話が進みます。
詳細はこちらの記事で。

ということで、両辺を2^{n+1}で割ると、
\begin{array}{l}
\cfrac{a_{n+1}}{2^{n+1}}-\cfrac{a_n}{2^n}=\cfrac{1}{2}
\end{array}ここで\cfrac{a_n}{2^n}=b_nとおくと、
\begin{array}{l}
&b_{n+1}-b_n=\cfrac{1}{2}\\\\
\Leftrightarrow&b_{n+1}=b_n+\cfrac{1}{2}
\end{array}これは、公差\cfrac{1}{2}の等差数列になっていますね。
初項はb_1=\cfrac{a_1}{2^1}=\cfrac{2}{2}=1なので、等差数列の一般項を求める方法で、
\begin{array}{l}
&b_n=1+(n-1)\cdot\cfrac{1}{2}\\\\
\therefore&b_n=\cfrac{1}{2}n+\cfrac{1}{2}
\end{array}ここで\cfrac{a_n}{2^n}=b_nだったので、
\begin{array}{ll}
&\cfrac{a_n}{2^n}=\cfrac{1}{2}n+\cfrac{1}{2}\\\\
&a_n=n\cdot2^{n-1}+2^{n-1}\\\\
\therefore&{\color{Red}a_n=(n+1)\cdot2^{n-1}} \cdots(答)
\end{array}特性方程式が重解になる場合は、変形した後の計算方法が変わるので、注意しましょう。
定数項やnの式を含む3項間漸化式
ここまでで、3項間漸化式の基本的な解き方は解説しました。
ですが、少しだけ応用パターンがあります。まずはこちらから。
定数項を含む3項間漸化式
次の漸化式で表される数列{a_n}の一般項を求めよ。
a_1=1,\quad a_2=5,\quad a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n+4例題1とよくにていますが、最後に+4がついています。
逆に言うと+4がなければ例題1と同じ問題になる、ということなので、なんとか工夫して例題1の形に持っていくことを考えます。
2項間漸化式のときにもやっていますが、この4をa_{n+2},a_{n+1},a_{n}にうまいこと振り分けて、
(a_{n+2}-\alpha)=5(a_{n+1}-\alpha)-6(a_n-\alpha)という形にできれば、b_n=a_n-\alphaとおいて、
b_{n+2}=5b_{n+1}-6b_nとなって、例題1の方法で解くことができそうですね。
それでは解答です。
a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n+4\quad\cdots①が、
(a_{n+2}-\alpha)=5(a_{n+1}-\alpha)-6(a_n-\alpha)\quad\cdots②と変形できるとする。これを整理して、
\begin{array}{ll}
&a_{n+2}-\alpha=5a_{n+1}-5\alpha-6a_n+6\alpha\\\\
\Leftrightarrow&a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n{\color{red}+2\alpha}\\\\
\end{array}これと、もとの漸化式①
a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n{\color{red}+4}の定数項を比較して、
\begin{array}{ll}
&2\alpha=4\\\\
\therefore&\alpha=2
\end{array}②に代入して、漸化式①は、
(a_{n+2}-2)=5(a_{n+1}-2)-6(a_n-2)\quad\cdots②b_n=a_n-2とおくと、②は、
b_{n+2}=5b_{n+1}-6b_nとなる。また、
\begin{array}{l}
b_1=a_1-2=1-2=-1,\\\\
b_2=a_2-2=5-2=3
\end{array}である。
粗茶さんここからしばらくは例題1と同じ解き方になります。
\begin{array}{ll}
&x^2=5x-6\\\\
\Leftrightarrow&x^2-5x+6=0\\\\
\Leftrightarrow&(x-2)(x-3)=0\\\\
\therefore&x=2,3
\end{array}これを用いて、漸化式は次の2通りに変形できる。
\left\{
\begin{array}{ll}
b_{n+2}-2 b_{n+1}=3(b_{n+1}-2 b_n)\cdots③\\\\
b_{n+2}-3 b_{n+1}=2(b_{n+1}-3 b_n)\cdots④
\end{array}
\right.③より、数列{b_{n+1}-2b_n}は、初項b_2-2b_1=3-2\cdot(-1)=5、公比3の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&b_{n+1}-2b_n=5\cdot 3^{n-1}\cdots③'
\end{array}④より、数列{b_{n+1}-3b_n}は、初項b_2-3b_1=3-3\cdot(-1)=6、公比2の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&b_{n+1}-3b_n=6\cdot 2^{n-1}\cdots④'
\end{array}③’ー④’より、
b_n=5\cdot3^{n-1}-6\cdot2^{n-1}b_n=a_n-2より、
\begin{array}{ll}
&a_n-2=5\cdot3^{n-1}-6\cdot2^{n-1}\\\\
\therefore&a_n={\color{red}5\cdot3^{n-1}-6\cdot2^{n-1}+2}\quad\cdots(答)
\end{array}ちょっと変わった形であっても、基本の形に持ち込むところがポイントです。
よくにていますが、こちらの問題も考えてみましょう。
nの式が含まれる3項間漸化式
次の漸化式で表される数列{a_n}の一般項を求めよ。
a_1=1,\quad a_2=5,\quad a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n+4n今回も、
b_{n+2}=5b_{n+1}-6b_nの形を目指すわけですが、nの1次式がくっついてるので、
b_n=a_n+\alpha n+\beta
とおきます。そうすると
\begin{array}{ll}
b_{\color{blue}n+1}=a_{\color{blue}n+1}+\alpha({\color{blue}n+1})+\beta,\\\\
b_{\color{green}n+2}=a_{\color{green}n+2}+\alpha({\color{green}n+2})+\beta\\\
\end{array}なので、目標とする形は、
a_{n+2}+\alpha(n+2)+\beta=5\{a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta\}-6(a_n+\alpha n+\beta)で、これを満たす\alphaと\betaを求めればOKということになります。
それでは解答を。
a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n+4n\quad\cdots①が、
a_{n+2}+\alpha(n+2)+\beta=5\{a_{n+1}+\alpha(n+1)+\beta\}-6(a_n+\alpha n+\beta)\quad\cdots②と変形できるとする。これを整理して、
\begin{array}{ll}
&a_{n+2}+\alpha n+2\alpha+\beta=5a_{n+1}+5\alpha n+5\alpha+5\beta-6a_n-6\alpha n-6\beta\\\\
\Leftrightarrow&a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n{\color{Red}-2\alpha}n{\color{blue}+3\alpha-2\beta}
\end{array}これと①の漸化式
a_{n+2}=5a_{n+1}-6a_n{\color{red}+4}n{\color{blue}+0}\quad\cdots①のnの係数と定数項を比較して、
粗茶さんもとの漸化式①に定数項はないですが、0だと思って考えましょう。
\left\{
\begin{array}{ll}
-2\alpha=4\\\\
3\alpha-2\beta=0
\end{array}
\right.\therefore \alpha=-2,\quad\beta=-3
これを②に代入して、
a_{n+2}-2(n+2)-3=5\{a_{n+1}-2(n+1)-3\}-6(a_n-2n-3)\quad\cdots②b_n=a_n-2n-3とおくと、②は、
b_{n+2}=5b_{n+1}-6b_nとなる。また、
\begin{array}{l}
b_1=a_1-2\cdot 1-3=1-2\cdot 1-3=-4,\\\\
b_2=a_2-2\cdot 2-3=5-2\cdot 2-3=-2
\end{array}である。
粗茶さんここから例題1と同じ解き方で。
\begin{array}{ll}
&x^2=5x-6\\\\
\Leftrightarrow&x^2-5x+6=0\\\\
\Leftrightarrow&(x-2)(x-3)=0\\\\
\therefore&x=2,3
\end{array}これを用いて、漸化式は次の2通りに変形できる。
\left\{
\begin{array}{ll}
b_{n+2}-2 b_{n+1}=3(b_{n+1}-2 b_n)\cdots③\\\\
b_{n+2}-3 b_{n+1}=2(b_{n+1}-3 b_n)\cdots④
\end{array}
\right.③より、数列{b_{n+1}-2b_n}は、初項b_2-2b_1=-2-2\cdot(-4)=6、公比3の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&b_{n+1}-2b_n=6\cdot 3^{n-1}\cdots③'
\end{array}④より、数列{b_{n+1}-3b_n}は、初項b_2-3b_1=-2-3\cdot(-4)=10、公比2の等比数列なので、
\begin{array}{ll}
&b_{n+1}-3b_n=10\cdot 2^{n-1}\cdots④'
\end{array}③’ー④’より、
b_n=6\cdot3^{n-1}-10\cdot2^{n-1}b_n=a_n-2n-3より、
\begin{array}{ll}
&a_n-2n-3=6\cdot3^{n-1}-10\cdot2^{n-1}\\\\
\therefore&a_n={\color{red}6\cdot3^{n-1}-10\cdot2^{n-1}+2n+3}\quad\cdots(答)
\end{array}応用パターンはそこまで出題頻度が高いわけではないですが、もし出題された場合のために、知っておくといいですね。
まとめ
今回は、3項間漸化式の解き方について解説しました。
3項間漸化式は、最初に見ると式が長くて複雑に感じやすいですが、基本の流れは決まっています。
まずは特性方程式を作り、その解を使って等比数列の形に変形する。
これが一番大事な考え方です。
慣れるまでは手順が多く感じるかもしれません。
ですが、どの問題も「基本形に直してから解く」という方針は同じです。
まずは特性方程式を作るところから、1問ずつ練習していきましょう!

